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2009年04月18日

裁判員制度対象事件 つぎはあなたが裁く!? 逮捕後にガン手術を受けたおじいちゃん

 被告人は、68歳のおじいちゃんで、自らが居住するアパートに火をつけて焼損させた、現住建造物等放火の罪に問われています。
 体の苦しみなどに耐えかねて、自殺しようと考え、どういうわけか別の居住者の部屋へ行って、火をつけました。
 被告人は、難聴のうえ、逮捕後に大腸がんの手術を受けるなど、とてもつらそうです。

 まもなく裁判員の参加する裁判が始まります。
 今回は、裁判員制度対象事件のうち、私が個人的に「これは負担が大きいだろうなあ」と思っている、「現住建造物等放火」を取り上げます。


【注意事項】
 この記事は、私が裁判傍聴で必死こいて書き殴ったメモを元に、なんとか記憶を辿って書いたものです。もしかしたら、実際に裁判で起こったことと、全然違うかもしれません。
 また、私に法律の知識はありません。
 偏った思いこみや思想が文章に紛れ込んでいるかもしれません。極力避けるように努力します。ご了承下さい。
 この記事が事件の真実を言い当てることなどございません。
 無いとは思いますが、無断転載はご遠慮下さい。引用は法律を守ってご自由にどうぞ。
 リンクはご自由にどうぞ。ただし、画像等への直リンクはおやめ下さい。
 登場人物のイニシャルは本名と無関係です。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《裁判員制度対象事件 つぎはあなたが裁く!? 逮捕後にガン手術を受けたおじいちゃん》
【現住建造物等放火】『新件』
平成19年5月16日
名古屋地方裁判所一宮支部1号法廷
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★登場人物★☆
Wさん(70歳ぐらいの男性。小柄なおじいちゃん。立っているだけでも苦しそう)
弁護人(50代ぐらいの男性。気むずかしい顔)
検察官(30代ぐらいの男性)
裁判長(30〜40代ぐらいの男性。羽生善治さん風のインテリ男子)
右陪席(30〜40代ぐらいの女性。三原じゅん子さん風)
左陪席(20代ぐらいの男性)
書記官(男性。詳細忘れました)
Aさん(Wさんと同じアパートに居住していた)


 被告人は、痩せたおじいさんで、耳が遠いそうです。書記官が補聴器をつけました。

【人定質問】
裁判長:「名前はなんといいますか?」
Wさん:「えっ!? なにっ!?」
裁判長:「名前はなんといいますか?」
Wさん:「はっ!?」
裁判長:「名前はなんといいますか!」
Wさん:「はっ!?」
裁判長:「名前はなんといいますか!!!」
Wさん:「はっ!?」
裁判長:「名前は! なんと!!! いいますか!!!!!!」
Wさん:「名前!? W■■■■」
裁判長:「生年月日はいつですか?」
Wさん:「はっ!?」

(中略)

 書記官が被告人席へ行って補聴器を調整しました。

裁判官:「聞こえますか?」
Wさん:「………………………………………………」
裁判長:「聞こえますか!!!」
Wさん:「…………なんだかガラガラガラガラ言って分からんなー」

 再度、書記官が補聴器を調整しました。

裁判長:「聞こえますか?」
Wさん:「あー、聞こえる!」

裁判長:「住居はどこですか?」
Wさん:「■■市……、あっ! ■■■市かあ…?」
裁判長:「起訴状には、■■■市■■町■■**番地の* ■■■■荘■号室とありますが………(略)」

 被告人の名前と住居を確認するだけで10分以上もかかりました。
 また、Wさんは、よく声がかすれたり、裏返ったりしていました。何度も質問して、ようやく答えても、聞き取りづらいことがありました。

 続いて、検察官が起訴状を読み上げます。

【起訴状朗読】
公訴事実
 被告人は、■■■市■■町■■**番地の* ■■■■荘■号室、A方において、焼身自殺をくわだて、■■■■■■■■して火をつけ、その火を壁等に燃え移らせ、現に人が住居に使用している同アパートの、2階部分計20室、296.19平方メートルを、焼損させたものである。

罪名及び罰条
現住建造物等放火 刑法第108条


 裁判長は、被告人に黙秘権などの説明をしたうえで、被告人側の意見をたずねます。

【罪状認否】
裁判長:「今読んでもらった公訴事実は、その通りでしょうか?」
Wさん:「ちょっともう一回言ってもらえますか?」
裁判長:「今読んでもらった公訴事実は、その通りで間違いないですか?」
Wさん:「う〜ん……、ちょっと最後のほうが………」
裁判長:「その通りでしょうか! 間違いないでしょうか!!!」
Wさん:「火をつけたのは間違いない」
裁判長:「アパートを燃やそうとしたのですか?」
Wさん:「自分のカラダ、どうにもならんもんで」

弁護人:「自身が自殺しようとして火をつけたのですが、アパートに火をつけようとした意志はなかった、ということです。事件当時、ほとんど水しか飲んでなかったので、心神耗弱状態にあったと主張します」
裁判長:「水しか飲んでいなかったということは、体が衰弱していたのですか?」
弁護人:「体もですが、衰弱していて、正常な判断ができなかったと主張します」


 検察官が事件の背景を説明します。

【冒頭陳述】
 平成**年から月7万円の年金で生活しておりました。前科前歴はありません。
 事件当時、大腸ガンなどの病苦から自殺をくわだて、アパートに火をつけました。
 被告人は、事件直前に遺書と思われるメモを書いておりました。
「苦しい 毎日フラフラ 病院にも行けない 天国しかないのか」
 その後、■■■自殺を試みますが、あまりの痛みから断念しました。
 犯行後、「アパートが燃えて自分も死ぬ」と思ったものの、煙に耐えられなくなって外へ出ました。路上に倒れているところを、救急隊によって助けられました。


 続いて、検察側の言い分が述べられる、検察官立証がおこなわれます。
 検察官は、有罪とより重い刑罰を求めるため、捜査で分かったことを書類化して、裁判所(裁判長たち3人の裁判官)に、裁判の証拠として採用するように求めました。書類を使って、被告人が犯罪をした事実と不利な事情を、プレゼンテーションするのです。
 弁護人は、甲号証の証拠採用については「すべて同意」、被告人の供述調書がふくまれる乙号証については、「意見を保留」しました。
 裁判所はひとまず甲号証を採用しました。裁判長たちは、採用した時点で、初めて証拠に目を通す決まりになっています。

 なお、裁判員が参加する裁判では、証拠を採用するかしないかについて、裁判員が参加する前の打ち合わせで、裁判官と検察官と弁護人によって、事前に決めておくことになっています。公判前整理手続です。
 裁判員は、証拠を採用するかしないかについて、判断する必要も権利もありません。証拠の採否を裁判員が入る前におこなっておくこととなった理由は、証拠の採否でもめる場面に裁判員を入れないことで、裁判員の拘束時間や負担を減らすためのようです。

《裁判員になったら,何日くらい裁判所に行かなければならないのですか。》裁判員制度ウェブサイト
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c5_1.html

 検察官は、たくさんの書類を裁判所に提出して、証拠の要旨を説明します。

【検察官立証】
[甲号証]
○犯行に使われた■■■■■の写真
○アパート焼損の被害額が1,500万円であることの確認
○Aさんの供述 被告人とAさんの間にトラブルがあった
○Aさんの供述 「音を立てて燃えている」
○近隣住民の供述 「音を立てて燃えている」「男が倒れていた」
○当日の天候が晴れであった確認
○手書きのメモ
「ノドに異物感(食道ガン) 喉痛 胃痛 歯痛 腹痛 2週間食べられない 苦しい 毎日フラフラ 病院にも行けない 天国しかないのか」


 検察官によって、手書きのメモが、被告人に示されます。

検察官:「このメモを書いたことがありましたか?」
Wさん:「書いた理由!?」
検察官:「書いたことがあるか? ということですけども」
Wさん:「自分が書いたんですけど」


 どこまで質問が聞こえているのか、内容を理解できているのか、心配になってきました。

裁判長:「弁護人立証のご予定は?」
弁護人:「被告人への確認が困難な状況で…………、こちらで乙号証を読ませていただいて、被告人質問で確認したいと思います」
裁判官:「時間はどのぐらい必要ですか?」
弁護人:「1時間ぐらいです」
裁判官:「論告弁論はまた別の日としたほうがいいですか?」
弁護人:「そうですねえ…」


 弁護人も、Wさんとの会話が難しいらしく、困っている様子でした。
 次回期日は7月4日と決まりました。2か月近くも先になります。

 さて、Wさんが本件犯行におよんだ動機は、自殺しようと思ったからです。まずは自殺について調べてみました。

精神医学の観点からは、自殺者の家族等身近な人に対する調査により、大多数の自殺者は、その直前に、何らかの精神科診断が認められることが明らかになっている。世界保健機関の調査結果では、診断なしは、わずか4.0%であり、うつ病(30.5%)、アルコール依存症(17.1%)、統合失調症(13.8%)で60%余りを占めている

平成20年版 自殺対策白書(内閣府)より
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2008/html/honpen/part3/s3_1_1_01.html
 多くの自殺は、精神疾患等により、判断力の低下した状態で行われているようです。
 自殺対策白書は、世論調査での《「自殺は覚悟の上の行為である。」と思う人の割合が58.3%》という日本人の意識に反して、実際の自殺は《到底最上とは認められない選択肢を選んでしまったという「追い込まれた末の死」》である、と指摘しています。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2008/html/honpen/part3/s3_1_1_01.html

 本件においても、Wさんが犯行直前に書いたメモから、「天国しかないのか」と、死ぬ以外の選択肢を見つけられなかった様子がうかがえます。Wさんが精神疾患を発症していたかどうかは分かりませんが、《追い込まれた末の死》のほうには該当しそうです。

 Wさんとしては、119番通報して救急車を呼ぶ、という方法は思いつかなかったようです。
 ましてや、家の外に出て路上で助けを呼ぶ、というような柔軟な発想は、ムリだったのでしょう。もっとも、交通量と通行人の対応によっては、寒さで体調を悪くするリスクはありますが…。

 もし、「天国しかない」と思ったら、自分の判断力低下を疑ったほうがよさそうです。他の有効な手段に気付くことができない状態なのです。
 もし「死にたい」と思ったら、「私は思いつかないけど、きっと何か方法がある。誰かにきいてみよう」と考えて、助けを呼ぶように、普段から心構えをしておく必要がありそうです。

 私は以前より、放火やガス漏出等致傷などの罪に問われている被告人は、自殺目的で犯行に及んだ人が多いなあと、よく思っていました。

 言い尽くされた話ですが、蛇足を承知で、念のために付け加えます。精神疾患と犯罪に、直接の関連はないようです。詳しい理由は知りませんが、いつものように統計から数字をひろってきて計算することにします。
 平成19年版犯罪白書(法務省法務総合研究所)の《3-4-1-2表 精神障害者等の一般刑法犯罪名別検挙人員》をもとに、精神障害者等以外(精神疾患や知的障害等のない)のグループと、精神障害者等のグループに分けて、人口比を計算してみます。

a《検挙人員総数》(平成19年版 犯罪白書) 384,250人
b《精神障害者等の一般刑法犯検挙人員》(平成19年版 犯罪白書) 2,545人
c《人口推計 年報 2008年》の《総人口》(総務省統計局) 127,692,000人
d《衛生行政報告例》の《精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数》(厚生労働省) 511,035人
e《福祉行政報告例》の《療育手帳交付台帳登載数》(厚生労働省) 727,853人

精神障害者等以外のグループ 検挙人員人口比百分率
(a−b) ÷ (c−d−e) × 100 = 0.3(%)
→1,000人あたり3人

精神障害者等のグループ 検挙人員人口比百分率
b ÷ (d+e) × 100 = 0.2(%)
→1,000人あたり2人

 私の計算では、平成18年においては、精神障害者等のグループは、精神障害者等以外のグループと比べて、0.1%だけ犯罪で検挙された率が低くなりました。

 精神障害者等であるかどうかの判断の一部が現場の警察官に委ねられている点や、症状があるにもかかわらず手帳を取得していない(申請していない)人がいるかもしれない点、精神障害者等は検挙されやすい(巧妙な隠ぺい工作が難しいと思われる)のではないかという点など、ツッコミどころ(誤差)は多いかもしれませんが、これが私の限界です。

 それでも、精神障害者等(精神疾患の患者・知的障害者など)が犯罪をする危険が高いわけではない点について、簡単に立証できたと思います(本気で立証したいなら、「平成18年はレアケースでは?」という疑いを除去するために、例えば過去50年ぐらいのデータを、全て計算しないとダメでしょうけど)。


 自殺者のうち、焼身自殺という危険極まりない行為を選ぶ人は、どのぐらいの割合でいるのでしょうか?

 警察庁と厚生労働省の資料から調べてみます。

 どちらも、警察や医師がどのように仕事を処理したかを表した数字で、実態を正確に表してはいません。亡くなられた方は、自殺だったのか事故だったのか、語ることができません。

 とはいえ、火災は、他の手段と比較して、焼損の程度や原因など、客観的な証拠が残りやすく、捜査も丁寧に行われると思います。事故と間違われる可能性は低いと考えられます。他の手段と比べて割合が極端に低く出ることはないだろうと思います。


【警察が「焼身自殺である」と判断した割合】
男 1.9%
女 2.4%

《[第1-1-24図] 平成18年における年齢階級別の自殺の手段別の自殺者数の構成割合》平成19年版 自殺対策白書より
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2007/html/part1/b1_1_10.html


【医師が《煙,火及び火炎による故意の自傷及び自殺(X76)》で死亡診断書を書いた割合】
総数 1.8%
男  1.7%
女  2.2%

《平成18年 人口動態調査 3C 下巻 死亡  第1表−1 死亡数,性・年齢(5歳階級)・死因(三桁基本分類A00-T98)別》(厚生労働省)より


 自殺者全体からみると、焼身自殺を選ぶ人は、少ないようです。

 大ざっぱに言って、

自殺をこころみた人のうち、焼身自殺という手段を選んだ人が、放火の罪で検挙されている

といったところでしょうか。

 犯罪として自殺目的の放火をとらえると、自殺そのものではなく、手段によって家を燃やし、他人や社会に被害を与えたことが問題となるようです。


 死を考えるほど悩むのはとてもつらいと思います。しかし、似た境遇に苦しんだ先人達の努力によって、何らかの解決法が用意されている可能性があります。
 自殺を実行にする前に、相談できる場所があります。もしかしたら、死ぬよりも簡単に、つらい境遇を回避できる手段があるかもしれません。

いきる・ささえる相談窓口(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/ikirusasaeru/index.html

全国のいのちの電話一覧
http://www.find-j.jp/zenkoku.html

法テラス
http://www.houterasu.or.jp/


 自分や周囲の人々の自殺を防止するためにこちらをよく読んでおいて下さい。
《自殺対策の基本認識》自殺対策白書 概要版
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2008/html/gaiyou/s3_1_01.html

 私は、裁判員として現住建造物等放火などを担当するのは、とても負担が大きいと思います。
 目の前にいる被告人は、とくに自殺目的の放火の場合は追い込まれた境遇で、あまりにもくたびれています。
 ところが、選択できる刑は、多くの場合は長い懲役刑です。

(現住建造物等放火)
第百八条  放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

刑法(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)

地方・家庭裁判所放火事件終局処理人員
《2-3-1-2表 地方・家庭裁判所罪名別終局処理人員》平成19年版 犯罪白書 をもとに作成

【地方・家庭裁判所放火事件終局処理人員】
無期懲役 1
有期懲役 実刑 291
有期懲役 執行猶予 163
無罪 3
その他 3

 私の個人的な意見では、理屈では分かっていても、目の前にいるくたびれた人に対して、長期の身体拘束と強制労働をさせる「判断を下す」のは、なかなかしんどいことだと思います。

 本来、体の調子が悪いのも、精神疾患にしても、医療によって解決する問題です。もともとの原因を考えていくと、どうして裁判所にたどり着いてしまったのか、疑問に思えてしまいます。

 だからといって、軽い刑にすればいいのかというと、それも無責任に思えてしまいます。いくら体が苦しくとも、他人様の財産を燃やしたり、生命を危険にさらしたりするのは、あまりにも身勝手な行為です。刑事責任をとらなくてはなりません(もちろん、社会にとっても本人にとっても、自殺対策によって実行を思いとどまらせることが第一です)。

 体がつらくて苦しくて「死」以外の選択肢が思いつかなくとも、近隣住人には関係ありませんから、被害者としては「体がつらいのは気の毒だけど、救急車を呼べばよかったじゃないか。何も私の家を燃やさなくてもいいのに」と言いたいところでしょう。

 消防庁によると、不幸にも放火自殺に巻き込まれて亡くなった方が、現実にいらっしゃるそうです。亡くなられた方々は、裁判での意見陳述どころか、検察官に被害感情を代弁してもらう権利すら、加害者に取り上げられています。

【死者の発生経過別】
放火自殺者等を除く 逃げおくれ 890人(43.1%)
放火自殺(心中含む) 592人(28.6%)
放火自殺者等を除く 着衣着火 128人(6.2%)
放火自殺者等を除く 出火後再進入 24人(1.2%)
放火自殺巻添え 17人(0.8%)
放火自殺者等を除く その他 416人(20.1%)

平成18年(1月〜12月)における火災の状況(確定値) 消防庁 より
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/190626-3/190628-3houdou.pdf

 生命への危険に加えて、住人の住居や財産、大家さんの収入や不動産が、灰となります。検察官が主張する本件の被害額は1,500万円にものぼります。
 さらに、本件で直接被害を被らなかった近隣住民に対しても、財産や生命を失う危険にさらしており、平穏な暮らしが脅かされるのではないかという不安を与えました。
 焼身自殺は、取り返しのつかない被害が発生するかもしれない、とても危険な行為なのです。

 裁判員になった場合、冷静になって、実際の被害などの不利な事情と、被告人の不遇などの有利な事情を比較して、法令や判例をもとに結論を考える方法もあります。くたびれた被告人を目の前にしていても、厳しい判断をくだすことへの葛藤が少なくなるかもしれません。
 でも、それでは今までのような裁判官3人の合議体と、さほど変わりないようにも思えます(むしろ慣れている分だけ裁判官のほうが一般国民の感覚を反映させられる…?)。

 これは、国民が頑張って厳しい刑をひねり出すよりも、検察官が上手にプレゼンテーションするほうが早いかもしれません。その準備はあるようです。

 一方,被告人には,公判廷において,自らの言葉で裁判官や裁判員に語りかける機会が与えられているところであって,その際における被告人の態度や供述等によっては,被告人の生育歴に恵まれないものがあったことや,刑罰を受けることにより被告人の家族の生活に困難が生じることなどの被告人側の事情が過大評価され,あるいは被害者側にも落ち度があるなどとして,被害の実態やそれによって被害者等が受けた影響が過小評価されるおそれがないとはいい切れない。そのような場合には,検察官は,被告人質問等において,被告人の供述を適切に弾劾する必要があるが,それだけでは,なお,被害の実態及び被害者等が受けた影響,被害感情等を裁判員が具体的に感得することは困難であり,弾劾を超えた積極的な立証としても,やはり被害者等の言葉が求められることが多いであろう。

「裁判員裁判における検察の基本方針」(検察庁)
http://www.kensatsu.go.jp/saiban_in/img/kihonhoshin.pdf
 必要であれば被害者の証人尋問を積極的に行う方針のようです。
 もちろん、被害者が疲れきって出頭できない可能性もあります。出頭できないからといって被害者の事情が軽く扱われてはいけません。
 検察官は、被害者の証人尋問を行えない場合、裁判員の印象に残るような書証を作成して、有罪と被告人に不利な情状を立証するのでしょう。

 これまでは,捜査段階で収集された証拠はできるだけ多く公判に提出した方が得策であるという,いわゆる過剰な「念のため立証」を是認する傾向があったが,その背景に,多くの証拠があるほど心証を形成しやすいという発想があったのではないかと思われる。しかし,裁判員裁判においてそのような立証を行うと,いたずらに審理に時間を要するばかりか,刑事裁判の経験がない裁判員の理解力・集中力等を考慮すれば,裁判員が情報過多の状態に陥って,適切な判断が妨げられるおそれが大きい。
 どうやら、検察庁としては、一般国民の《理解力・集中力》が心配なため、最小限でインパクトのある証拠を厳選して、「分かりやすい」立証を行うようです。

 まずは、改行を増やすこと、ひらがなと漢字のバランスを整えることから、じっくり頑張ってください。
 できれば「,」じゃなくて「、」を使っていただけると読みやすいです。でも、行政はどこも「,」で統一しているようなので、難しいかもしれません。

 裁判員としては、検察庁が頑張ってくれているのですから、《理解力・集中力》を発揮したいところです。


◎今回分かったこと
・放火の被告人はくたびれているかもしれません。
・自殺は《追い込まれた末の死》です。
・「死にたい」と思ったら、自分の判断力低下を疑ってください。
・死ぬより簡単に苦しみから回避できる方法があるかもしれません。専門の窓口やお医者さん等に相談してください。誰かに助けてもらってください。
・自殺と犯罪が直接関連しているわけではなさそうです。
・自殺の統計は、犯罪の統計と同じで、実態を表しているわけではないようです。
・自殺に巻き込まれて亡くなる方がいらっしゃいます。
・目の前の被告人についつい同情したくなります。
・裁判員が参加する裁判では、被害者が法廷に出頭することが、多くなりそうです。
・検察庁は国民の《理解力・集中力》を心配しています。
・検察官は、裁判員が参加する裁判では、被害状況や被害感情を、分かりやすく主張して下さい。
・まず、改行を増やしてください。
・裁判員は、検察庁の努力にこたえて、《理解力・集中力》を発揮してください。


【参考文献】
裁判員制度
http://www.saibanin.courts.go.jp/

平成19年版 犯罪白書(法務省法務総合研究所)
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/54/nfm/mokuji.html

各年犯罪白書
http://hakusyo1.moj.go.jp/

平成19年版 自殺対策白書
平成20年版 自殺対策白書
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html

自殺対策ホームページ
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/index.html

人口推計 年報 2008年(総務省統計局)
衛生行政報告例(厚生労働省)
福祉行政報告例(厚生労働省)

総務省消防庁
http://www.fdma.go.jp/

検察庁
http://www.kensatsu.go.jp/

いきる〜自殺予防対策支援ページ
http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/index.html

いのちの電話連盟
http://www.find-j.jp/
posted by 絶坊主 at 10:39| Comment(6) | TrackBack(0) | 暴れた事件(裁判傍聴記) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
今日は家で仕事しながら、1歳の娘に邪魔されながら
ブログなど見てます(^^)
また寄らしてください。
それでは。失礼します。
Posted by ★KEEP BLUE★ at 2009年04月20日 23:09
★KEEP BLUE★さん、訪問ありがとうございます。

私が口を出す立場にはないのですが、ウチような場末のブログに時間をさくのはもったいないですので、娘さんの相手をしてあげてください。

バッチリ書けたら更新する、という感じで、更新頻度は高くありません。ご安心ください。
Posted by 絶坊主 at 2009年04月22日 11:49
サイト運営し始めた者なんですが、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://hikaku-lin.com/link/register.html
こちらより、相互リンクしていただけると嬉しいです。
まだまだ、未熟なサイトですが、少しずつコンテンツを充実させていきたいと思ってます。
突然、失礼しました。
8NUZotOP
Posted by hikaku at 2009年05月02日 16:09
hikakuさん、はじめまして。

貴サイトを拝見いたしましたが、登録のやり方がよくわかりませんでした。

また、私どものサイトと関連するカテゴリを見つけることができませんでした。
カテゴリが違ってしまうとお互いに相互リンクのメリットが少なくなってしまいます。

どのように登録したらいいのか具体的にご教授くださいますと嬉しいです。
Posted by 絶坊主 at 2009年05月06日 09:23
裁判傍聴、司法参加への真摯な取り組みに感銘を受けました!!!すばらしいです。今後もどうぞこのような情報・ご意見をみなさまに提供し続けてください。
Posted by お掃除おばさん at 2009年05月15日 10:10
お掃除おばさん、ありがとうございます。
とても嬉しいです。

裁判員に選ばれたときに「覚悟したほうがいいだろうなあ」と思った事件を扱ってみました。

裁判員の立場から、実際に困りそうなことを扱った報道というのは、大手〜個人を見渡しても、あまり多くないと思っていました。

仕事を休めるの? 一般国民には負担が大きいのでは? といった制度上の問題を扱ったものが多いと思います(もちろん重要なことです)。
でも、ちょっと「きれいごと」ばかりかなあと感じていました。

それで、もっと所帯染みたといいますか、実際に困りそうな問題を、裁判員(いわゆる一般国民)の立場に「だけ」立って、書いてみました。

需要があるのかどうかは分かりませんが、これなら私しか書かないだろうと考えました。

それから、くたびれた被告人や、うまく話ができない被告人は、珍しくないと思います。
よく「動機の解明」や「真実の解明」みたいなことが求められますが、裁判は口頭で進められますから、人間同士の会話ではグダグダしてしまって、なかなか「スッキリ分かった」なんてことは少ないと思います。
このあたりでも裁判員が苦労するかもしれません。

この事件の記事は、《WHOによる自殺予防の手引き》(「自殺対策白書」内閣府、「自殺予防」高橋祥友・岩波新書など)をできる限り守るようにしたり、裁判を知らない方にもわかりやすい(面白く読める)よう気をつけたりしたため、苦労しました。

この事件の続きは、書く予定で準備を進めておりますが、やる気が出るのと、調べ物が終わるのと、私のDS-10(ニンテンドーDSで古いシンセサイザーを再現した、面白い音が作れるソフト)熱が冷めるのとを、待たなければなりません。

お待たせしますことをお許しくださいませ。
Posted by 絶坊主 at 2009年05月16日 09:57
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