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2006年12月11日

判決: 96km/hも出してない… 争点は速度測定器の正確さ レーダー裁判

 名古屋簡易裁判所で行われていたレーダー裁判に、6日午後、「公訴棄却」の判決が言い渡されました。つまり、被告人の勝訴です。

 被告人は、制限速度50km/hの道路を46km/h超過の96km/hで走行したとして、道路交通法違反の罪に問われていました。しかし被告人は、運転席のメーターの針が70〜80km/hだったこと、96km/hでは実際の停止位置までに停まれないことなどから、公訴棄却を求めていました。

 裁判官は、レーダースピードメーターの正確性が確認されていないこと、警察官の証言が変遷しており信用できないこと、停止位置までの距離からしても70〜80km/hで走行した可能性が高いことなど、40〜50分にもわたって理由を読み上げました。検察側の主張はほぼ完全に退けられました。


【注意事項】
 この記事は、私が裁判傍聴で必死こいて書き殴ったメモを元に、なんとか記憶を辿って書いたものです。もしかしたら、実際に裁判で起こったことと、全然違うかもしれません。
 また、私に法律の知識はありません。
 偏った思いこみや思想が文章に紛れ込んでいるかもしれません。極力避けるように努力します。ご了承下さい。
 この記事が事件の真実を言い当てることなどございません。
 無いとは思いますが、無断転載はご遠慮下さい。引用は法律を守ってご自由にどうぞ。
 リンクはご自由にどうぞ。ただし、画像等への直リンクはおやめ下さい。
 登場人物のイニシャルは本名と無関係です。
 判決は、40〜50分にも及び、早口で読み上げられました。以下重複しますが…、メモしきれなかった部分については記憶で補っております。間違いや大幅な欠落が含まれているかもしれません。


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《判決: 96km/hも出してない… 争点は速度測定器の正確さ レーダー裁判》
【道路交通法違反】『審理』
12月6日
名古屋簡易裁判所403号法廷
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★登場人物★☆
Eさん(被告人。40代ぐらいの男性)
弁護人(20〜30代ぐらいの男性)
検察官(40〜50代ぐらいの男性。民主党の馬淵澄夫議員風)
裁判官(40〜50代ぐらいの男性。エコノミストの森永卓郎さん風)
Aさん(Eさんを取り締まった警察官。公判では証人として出廷した)
Bさん(一緒に取り締まっていた警察官)
Xさん(レーダースピードメーター製造元の社員。公判では証人として出廷した)

 論告・弁論はこちらです
http://chisai.seesaa.net/article/29273536.html


 裁判官は、どことなく緊張したような面持ちで入廷し、険しい表情で着席しました。動作がぎこちないように感じられました。
 そして、二度ほど息を飲み込み、力んだ表情で、主文を読み上げました。
 以下、判決です。



 主文 本件公訴を棄却する

 以下理由を述べますが、長くなりますので、後ろの椅子に腰掛けて聞いて下さい。


 被告人は、平成17年4月14日、法定速度50km/hの道路を、46km/hオーバーの96km/hで運転進行したとして検挙された。被告人は、実際には70〜80km/hで走行しており、96km/hで走行した記憶はなく、反則手続きが適当であると主張している。

 ■■署の警察官は、平成17年4月14日木曜日、午後1:35から、天候は晴れの状態で、直線アスファルト舗装片側2車線で見通しの良い50km/hの道路で、■■■■レーダースピードチェッカー(以下、本件装置)を使用して速度超過違反の取締りを行った。A他3名の警察官が担当した。

 本件装置は、電波を放射し、走行車両から跳ね返ってきたものを感知して速度計測する仕組みになっている。連続して65km/hを測定し続けると警報音が鳴るようになっている。このとき警察官が停止ボタンを押すと速度が印字された記録紙が出る。

 事件当日の午後2:07頃、被告人車両が、96km/hの速度で走行したとして、検挙されている。Aが、印字した記録紙を添付した調書を作成したものの、被告人はサインには応じず、「一切認めません」と書いた。


●本件装置による測定結果は正確か否か?

 取締り前後に音叉テストを行ったが正常を示す88km/hの表示は出なかった。
(被告人車両の経路について。詳細メモできず)

 音叉テストの手順は、本件装置の取扱説明書によると、

本件装置を設置接続し、
正常を示す緑色のランプを確認し、
音叉を叩いて、88km/hの表示が出ることを確認する。
速度違反の調書には、音叉テストの正常値が印字された、88km/hの記録紙を添付する。

 取締りにあたった警察官(Aさんかどうかは忘れました)は、
「88km/hは出なかったが、緑色のランプが点灯していましたし、被告人車両の速度は目視と合っていた」
と言っているが、音叉テストで正常を示す88km/hの結果が得られず、調書に記録紙の添付を行っていなかった。

 Aによると、当日の午前8:00〜11:00と、翌日の午後6:45〜9:25までの取締りでは、音叉テストで88km/hの結果が出ていたという。また、
「被告人以外から不服が出なかった」
と証言している。

 製造元メーカーのXは、緑色のランプについて、「計測回路自体は正常」である旨を証言している。
 また、「電波が出ていない可能性はあるが、他の車は測定できている」とした上で、音叉テストで88km/h出なかった理由について、
「音叉のたたき方が悪かったか、電波の放射角度が悪かった」
という可能性を述べている。

 検察官は、
・音叉のたたき方が悪かったか、電波の放射角度が悪かった
・正常を示す緑色のランプが点灯していた
・他の車両は正確に測定できた
・他の違反者から不服はない
等の理由から本件装置の正確性を主張している。

 確かに他の車両は測定できていた。その限りでは妥当性がある。
 しかし、他の違反者からの不服申し立てがなかったのは、本件を100%保証するものではない。

 音叉テストは電波を確認するためのものである。電波は出ていても周波数は違ったかもしれない。

 違反速度は、65〜75km/hが74%で、本件の96km/hは突出している。これは、違反速度が低い違反速度だったから、と言えなくもない。

 音叉テストは、反射波受信され、ドップラー効果により……(略: 難しすぎて理解できず)……。

 電波は、目に見えないため、前後のテストで正確性を保証する必要がある。レーダーの正確性を保証するために音叉テストは重要である。
 A証人は、
「電源が入っているか、印字ができるか、確認するために行う」
と証言しており、音叉テストの重要性を理解していない。

 機械による測定は正確さを100%立証できない。正確さを100%立証できない以上、基本手順を怠った場合は不利な判断となる。


●A証言は信用できるのか否か?

・A証言
 被告人車両は単独で走行しており、停止位置から200mの地点から100km/hを超えて走行していた。

・被告人の主張
 事件直前は第2車線を走行しており、後方の第1車線に1台、第2車線に2台あった車両を、徐々に引き離していた。その後、前方に右折車両を2〜3台確認したので、第1車線に進路変更した。後方から1台の車両が接近していたので加速した。運転席のメーターを見ると70〜80km/hの位置に針があった。右折車両を追い越してしばらくすると警察官が停止旗を振っているのが見えた。それが自分に対して振られているのか、後ろの車に対して振られているのか、よく分からなかったが、普通の強さでブレーキを踏んで減速した。


 Aは、本件装置の測定結果に基づいて供述しており、当時は100件以上を取り締まっている上、事件から1件以上も経過している。

 被告人は初めての速度違反である。また、一旦帰宅した後、現場や取締りの装置等をカメラで撮影し、記憶保持に努めている。検挙時から走行状況等を具体的に述べている。

 平成17年7月17日(調書と思われる)と平成18年6月21日(調書もしくは公判と思われる)でA証言は異なっている。内容には変遷があり曖昧である。

 被告人の主張のほうが、具体的で一貫性があり、信用できる。被告人は、速度超過自体については認めており、反省の気持ちも述べていることから、虚偽の主張をすることは考えにくい。


●停止位置までの距離は停止距離の範囲内だったのか否か?

 96km/hでの停止距離は、全車輪ロックの状態において、71.83mである。
 ただし、本件装置は、誤差を見込んで96km/hの場合には5km/hほど低い値が測定される仕組みになっている。実際には100km/hだった可能性がある。この場合の停止距離は77.1mである。

 停止位置までの距離は、実況見分調書によると、

・甲3号証: 74.3m (平成17年7月17日)
・甲10号証: 117.4m (平成18年6月21日)

となっている。

 検察官は、甲10号証の停止距離を指摘して、「停止可能な距離であり速度超過は明らか」としている。
 甲3号証が事件から3ヵ月後に作成されたものである。これがありながら検察側は、どういうわけか第1回公判においてAが証人に呼ばれることが決まった後、第2回公判期日までに甲10号証を作り直した。
 その上で検察官は「甲10号証こそが客観的」と主張している。
 甲10号証は、甲3号証と比較して、被告人車両の@△$×&(聞き取れず)123mが225mに後退……(以下、2〜3箇所ほど、被告人車両の位置が大きく後退している部分を指摘する)……。
 これらのことから甲10号証は信用できない。事件から3ヵ月後に作成した甲3号証がありながら、事件から1年以上も経った第1回公判終了後に実況見分調書を作り直し、しかもその甲10号証のほうが詳細なのは不自然である。

(略: 被告人車両の位置が甲3号証と甲10号証で異なっているという指摘。よく分からなかったため省略します)

 Aは、被告人に対して、音叉テストで正常な結果が出なかったことを、伝えていない。
 甲3号証では「ホールドボタン」に関する供述が出ていない。
 甲10号証と公判で出てきた。
 つまり、Aには肝心な記憶がない。

 甲10号証は信用に乏しく、甲3号証のほうがまだ信用できる。

 甲10号証では、停止位置までの距離は117.4mで、停止距離の範囲内である。
 しかし、被告人が直ちに停止旗を認知したわけではない。

 被告人が認知するまでには、
 Aが警報音を認知 → 警笛を鳴らす → 旗を振るように指示 → 停止係が路肩に出て被告人車両に向かって旗を振る → 被告人が停止旗を認知…(聞き取りづらかったので正確ではないかもしれません)、
という手順を踏んだことになる。

 (算出方法を説明して)少なくとも1.5秒かかる。直ちに警笛を鳴らしても停止係が気付くまでに0.75秒かかる。
 1.5秒あれば、被告人車両は、40m進行する。

 急ブレーキをかければ、停止距離は71.83mであり、停止位置までに停まれた可能性はある。しかし、ブレーキがゆっくりめだった場合は78.5mとなり、停止位置までに停まることは困難である。

(略: よく分からなかったため。具体的な位置に関する検証。速度を96km/hとする限り不可能という結論)

 被告人は、スピードメーターを見た時に、70〜80km/hであったと主張している。仮に75km/hとして、急ブレーキをかけた場合、停止距離は47.26mとなる。ただし、被告人は自分の車か後続車か半信半疑だったため「普通にブレーキを踏んだ」と主張しているから、急ブレーキよりも長い56.6mが停止可能な距離となる。
 被告人は「月に1〜2度通りました。先が見通しの悪いカーブになっているので速度を落としていた」などと供述している。他の違反車両の速度が80km/hであった。また、美容院の帰りだったことから、特に急ぐ理由もなかったと認められる。

 被告人は第1車線に後続車両があったと主張している。被告人の車両から120〜130m後方だったと考えられる。被告人車両が車線変更した時点ではレーダー測定可能な範囲にあった。

 Aは、本件装置の電波照射角度について、本件だけ5°で、当日の午前と翌日の午後は10°だったと証言している。
 本件装置の取扱説明書によると、道幅が、6mの場合は5°、6〜10mの場合は10°と、それぞれ記載されている。
 本件装置が正しく動作したとすれば接近する後続車を測定したかもしれない。何に反射したのか分からない可能性もある。

 弁護人は多重反射の可能性を指摘している。
 Xは、「可能性はある。周囲に物体がある場合には多重反射の可能性が大きい」、と述べている。


 本件公訴事実の96km/hは、音叉テストで正常値が出ておらず、本件装置の正確性に問題があり、停止距離にも合わない。
 被告人の供述は、取締り当日から一貫しており、記憶保持に努めていたことからも、信用できる。
 計測された96km/hは、本件装置、現場の状況、取り調べの経緯などから、正確性には疑いが残る。

 被告人が96km/hで走行した証拠はない。被告人は、70〜80km/hで走行したものであり、反則行為に該当する。反則行為の場合、一定の手続きを踏まなければ公訴できないので、本件公訴は棄却する。


 裁判官は、判決を読み終えた後、被告人に向かって言いました。

裁判官:「被告人は、この公判で、30km/h未満の速度違反については認め、反省している旨を述べました。今後は、法を遵守して、違反の無いよう注意して下さい」
Eさん:「分かりました」



 判決は以上です。
 私は、途中から集中力を欠いてしまい、メモは途切れ途切れになりました。中途半端な点があるのは私の責任です。すみません。裁判官のせいではありません。

 それにしても、ここまで検察側の言い分を退けた判決は、私も初めて見ました。私は、主文を聞いたとたんにビックリして、少しの間ボールペンを持つ手が震えました。
 もちろん、公訴棄却が確定したわけではなく、検察側が控訴する可能性がありますから、高裁でひっくり返るかもしれません。
 しかし、普段の記事では、判決すら出ていない状況で、被告人の更生等について論じております。今回は、判決がだいたい合っていると仮定した上で、検察と警察が同じミスを繰り返さないための方法を考えてみようと思います。

 さて、衝撃的な判決と思ったのもつかの間、理由を聞くうち、たいして思い切った判決だとは思えなくなりました。まあ、妥当だろうなと。
 私がそう思う理由は、

1.「音叉テストで正常を示す88km/hの結果が得られず、調書に記録紙の添付を行っていなかった」
2.「事件から3ヵ月後に作成した甲3号証がありながら、事件から1年以上も経った第1回公判終了後に実況見分調書を作り直し、しかもその甲10号証のほうが詳細なのは不自然である」

という2点です。

 1は、警察官が、本件装置の正常が確認できなかったにもかかわらず、本件装置の異常を確認することなく取締りを続け、音叉テストの結果である88km/hが印字された記録紙を添付することなく調書を作成したものです。
 もしかしたら、Aさんは、ズルをしたのかもしれません。仕事をする上で、使用する機器が正常であると確認するのは、当たり前に必要な行為です。作業する上で必要な行為を怠ったわけです。
 まあ、取締りを始めようという時に、機械の調子が悪いのですから、面倒になってしまう気持ちは分かります。
 しかし、最近では、町工場でも、そんなズルには滅多にお目にかかれません。そんなことをしていたら誰も取引してくれません。

 2は、検察が、すでに甲3号証という実況見分調書があるにもかかわらず、Aの証人尋問が決まってから、あわてて被告人が不利になるような甲10号証という実況見分調書を作り直したものです。
 もしかしたら、検察としては、公訴事実の立証に自信があったものの、公判で不利になってしまったことから、被告人が不利になる証拠を躍起になって探したのかもしれません。その結果できあがった甲10号証は、錯誤によるものなのでしょうか? それともでっち上げなのでしょうか? でっち上げだとしたら虚偽公文書作成罪(でしょうか?)の疑いがあるのではないでしょうか?
 もちろん、本件を担当した検事らが無能揃いで、事件の内容をよく理解できていなかった可能性はあります。ただ、日本の検察の優秀さ(有罪率99.9%)を考えると、確率は低いだろうと思います。

 さらに言えば、公判で嘘の証言をしたAは、偽証罪の疑いがあると思います。もちろん、「故意に嘘をついたわけではない」かもしれません。しかし、音叉テストの件や甲10号証の件について考えると、ある程度分かっていたのではないのかと、疑いたくなります。
 もしかしたら、公訴事実が間違いだと分かっていた検察官が、公訴事実が間違いだと分かっていた警察官に、証人尋問をしていたのでしょうか。まるでコントです。
 私は、甲10号証を作成する様子を、ぜひ見たかったです。傍聴できたら行きましたのに。

 いずれにしましても、検挙の段階で手順を怠り、検察がでっち上げたような証拠を出していますので、私が裁判員だったら恥ずかしくて認められないです。

 ところで、これまで当ブログでは、できるだけダメっぽい人が立ち直るように、色々と方法を考えてまいりました。私も、ダメっぽい人であり、罪を犯す側の人間ですから。そこで、警察や検察を批判するのは夕方のニュースにお任せして、ここからは、彼らが優秀もしくは真っ当な捜査官に戻るための方法を考えたいと思います。
 以下、ケース別に検討してみます。


◎その1 検事:裁判で勝てそうな証拠をでっち上げた  警察官:法廷で偽証した

 この場合、規範意識を養う必要がありますので、それこそ矯正教育が必要となります。まあ、実刑にはならないかもしれませんが、掟を破った者には罰を与えるのが人間社会です。研修だと思って刑事訴追を受けて下さい。
 また、職場を追われないよう上司とよく相談して、結果をご家族に報告しておいて下さい。せっかく保釈されても奥さんが待っているとは限りません。
 もし、拘置所にはいることになったら、自らの身分を絶対に明かさないことです。コソ泥のフリをして下さい。万が一、警察官や検事だとバレたら…、拘置所には捜査機関に恨みを持った人がたくさんいるでしょうから、ヤバイことになるかもしれません。ここが一番の正念場だろうと思います。
 裁判では、検事も警察官も、その道のプロですからね。心配ないでしょう。
 とにかく、よく反省した上で、上司によく頼み込み、今の仕事を確保して下さい。
 まあ、立証の難しそうな罪ですから、実際には立件されない可能性が高いのかもしれません。「嘘ついてない」と言い張れば良いのですから。同僚なら温かい目で見てくれるかもしれませんし。国益を考えるとけしからんのでしょうけども。


◎その2 検事:錯誤によって間違った証拠を作ってしまった  警察官:間違った記憶で証言した

 私が想像するに、この場合の甲10号証は、後ろめたさと記憶の曖昧さをもつ警察官と、どうしても有罪にしたい検事との間で、取り繕いながら作られたものだろうと思います。
 以下は、面倒なので、フィクションの物語として書きます。当たり前ですが単なる想像です。

 まず、Aさんは、音叉テストの結果を無視したため、本件には後ろめたさがありました。また、Eさんの取締りについて、覚えているつもりだったのですが、検事に詳しい話を聞かれると記憶が曖昧だったことに気付きました。しかし、やる気になっている検事を前に、「実ははっきり覚えていない」などとは言えずにいました。さらに、音叉テストについて追及されると、ついつい取り繕ってしまい、綻びが出ないように強がっていました。そして、いつの間にか、本当のことのように思えてきました。そして、法廷でも、それが真実だと信じて証言してしまいました。
 検事は、Aさんの言い分と甲3号証の間に、何か矛盾があるように思いました。しかし、Aさんがあまりに強気ですし、交通違反の裁判など他にもたくさんあり、少々無理な主張をしても負けたことはありません。だけど、次の公判で、Aさんの証人尋問がある…。弁護側はこの矛盾点をついてくるに違いない。だが、Aさんの記憶が正しく、甲3号証のほうが間違っているとしたら…。もう一度調書を作り直した方がよいのではないか?

 フィクションはここまでです。
 出来の悪い物語で申し訳ございません…。誠にお恥ずかしい限りです。本件のような間違いは必ずしも単純な経緯で起こるわけではないと思います。ただ、私がどのような経緯で考えたのか、これをお読みの皆様の参考となるよう、上記の物語を書きました。
 それで、こういう想像をした上で、以下の結論を導き出しました。

 今後、検事が心がけるべきは、本件のA証言のような、信用性が乏しい証拠を優先しないこと、です。他にないのであれば仕方がないでしょう。しかし、すでに甲3号証という実況見分調書があるのですから、それと照らし合わせてAさんの証言が矛盾するのであれば、普通はAさんの証言が違うと考えるでしょう。それが、甲3号証のほうが間違っていると考えるのですから、アクロバチックすぎる脳を持っています。
 もし、Aさんが警察官ではなく、常習累犯窃盗の被告人だったら、誰だって実況見分を信用します。もしかして、担当した検事は、警察という権威に騙されてしまったのでしょうか? ま、私も権威には弱いので、気持ちは分かります。だけど、裁判では、権威のある者が熱心に訴えたとしても、それを理由に有利な証拠として取り扱うことは許されません。

 次に、警察官が心がけるべき点は、仕事に使う機器に不具合がある時は作業を中断する、ということです。
 これを身に付けるためには製造業の現場を体験するのが一番だと思います。ただし、警察官が研修に来るとバレてしまったら、受け入れる企業側がビビってしまいます。きっとゆるーい研修になるでしょう。ですから、身分を隠した上で、人材派遣に登録し、製造業の現場でシゴかれて下さい。短期の仕事もあると思いますよ。年齢的に難しいかもしれませんけれど…。

 それから、ミスは早めに認めて謝罪する、ということです。
 非公務員の中には、公務員に対して、並々ならぬ憎悪を持っている人もいます。例えば、「貴様らお役人は、税金の無駄遣いしてるクセに、優遇されやがって!」などと、テレビの影響なのか、ちょっと強引な理屈を展開します。下手にごまかせば手が付けられないくらいの不信感を持たれてしまうかもしれません。しかし、心からの謝罪をされたら、感激して許してしまう人も少なからずいると思います。許されるかどうかは、相手が感情的に気に入る謝罪だったかどうか、と言い換えることもできます。もちろん、刑法に触れてしまったら責任をとるべきです。それでも、相手の感情に沿うような謝罪をすれば、裁判所に訴えられたり、マスコミにタレコミされたりするような、要らぬトラブルを防ぐことは可能でしょう。
 それから、自分の記憶が他の証拠と矛盾する場合、覚えていないのではないかと疑ってみて下さい。もし、検事に怒られても、正義感を支えに耐えて下さい。それが嫌な場合は、テレビゲームの“脳トレ”ソフト等を用いて、日々脳を鍛え続けて下さい。


 他にも、「検事:被告人が不利になる証拠をでっち上げた 警察官:間違った記憶で証言した」や、「検事:錯誤によって間違った証拠を作ってしまった 警察官:法廷で偽証した」、のような組み合わせも考えられます。ここでは、たいした内容は書けませんし、長くなるので省略します。


 毎度のことながら色々と偉そうに書いてしまいました。本来ならば、Eさんが身に覚えのない罪を着せられたことについて、もっと詳しく書くべきなのかもしれません。だけど、私の好みは、ダメっぽい人なもので…。

 最後に一つだけ付け加えます。Eさんは、「一旦帰宅した後、現場や取締りの装置等をカメラで撮影し、記憶保持に努めている」ことを理由に、その主張が認められました。もし、身に覚えのない理由で検挙されてしまったら、自らも現場検証等して、証拠を確保する必要があるのかもしれません。彼の行動は、理に適ったものであり、冷静かつ積極的で、とても参考になると思いました。

◎今回分かったこと
・緊張感のある判決もあります。
・警察官の証言が退けられることもあります。
・甲10号証を作成した検事は虚偽公文書作成罪を犯したのかもしれませんが証拠はありません。
・Aさんは偽証罪を犯したのかもしれませんが証拠はありません。
・作業手順を守りましょう。
・ミスを素直に認めて誤りましょう。相手の感情に沿うような謝罪方法を考えましょう。
・裁判で勝つことだけを考えていれば良い…、とは限りません。
・脳を鍛えましょう。
・もし、身に覚えのない理由で検挙されたら、積極的に証拠を収集し、訴訟の準備をしておくほうがよいかもしれません。
posted by 絶坊主 at 21:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 交通の事件(裁判傍聴記) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
当該事件被告人のEでございます。

いやあ参りました。
素晴らしい記録をありがとうございます!

被告席に座っている私はメモも取れない状態で(取っていたらたぶん注意されるのでしょう)、自分のブログにどうやって掲載すればよいものか悩んでいました。

私の言いたいこと・記録として残したいこと、ほぼ全てを絶坊主さんの、今回の日記が言い表していると思います。

音叉チェックを通っていない、甲3号証・甲10号証があまりにも違う、警察証人の証言の穴などツッコミどころ満載な裁判だったため、とりあえず勝てたのか、とも思います。

今井さんにお聞きしたところ、音叉チェックを通していない取締りに対する裁判でも被告の負けた例があるらしいので(^-^;

これからも、公平な傍聴記録をよろしくお願いいたします。
Posted by E at 2006年12月15日 22:24
Eさん、ありがとうございます。
ご意向に適っていたようで安心しました。

私は、論告弁論以降しか傍聴しておりませんし、自動車を運転しないので、内容については自信がありませんでした。
有り難いお言葉に感謝いたします。

私は、裁判官の緊張に満ちた表情が、忘れられません。裁判官としては、被告人に有利な判決を言い渡すには、覚悟が必要なのかもしれません。冷静に証拠を分析した真っ当な判決だと思うのですが…。

>今井さんにお聞きしたところ、音叉チェックを通していない取締りに対する裁判でも被告の負けた例があるらしいので(^-^;

他の証拠で立証十分という判断なのでしょうか…。まあ、裁判はともかく、機器に不具合がある状態で取締りしないでいただきたいです。

さて、記事を書き終えましたので、Eさんのブログを拝見しようと思っております。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by 絶坊主 at 2006年12月17日 09:16
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