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2007年06月02日

些細なケンカだったはずが放火罪に…(2)

 被告人は、彼氏に覚せい剤を注射してもらった覚せい剤取締法違反と、彼氏が撒いた灯油に火をつけた疑いで現住建造物等放火罪に、それぞれ問われています。
 被告人は、第1回公判で、覚せい剤の使用と火をつけたことは認めたものの、家を燃やす意志はなかった旨を述べました。
 彼女は、彼氏との激しい口論の末、足蹴にされ、火をつけてしまったそうです。冒頭陳述を聞いた限りでは、これで放火罪に問われてしまうのは、いくら火をつけてしまったとはいえ、気の毒に思いました。

第1回公判はこちら
http://chisai.seesaa.net/article/40521398

 今回は、証人尋問や被告人質問等が行われた、第2回公判をお伝えします。


【注意事項】
 この記事は、私が裁判傍聴で必死こいて書き殴ったメモを元に、なんとか記憶を辿って書いたものです。もしかしたら、実際に裁判で起こったことと、全然違うかもしれません。
 また、私に法律の知識はありません。
 偏った思いこみや思想が文章に紛れ込んでいるかもしれません。極力避けるように努力します。ご了承下さい。
 この記事が事件の真実を言い当てることなどございません。
 無いとは思いますが、無断転載はご遠慮下さい。引用は法律を守ってご自由にどうぞ。
 リンクはご自由にどうぞ。ただし、画像等への直リンクはおやめ下さい。
 登場人物のイニシャルは本名と無関係です。
 今回、色々と事情がありそうなので、特に情状に関して、一部省略させていただきました。社会復帰後の生活については、ご両親が責任を持って、支援・監督されるそうです。


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《些細なケンカだったはずが放火罪に…(2)》
【現住建造物等放火】【覚せい剤取締法違反】『審理』
名古屋地方裁判所一宮支部1号法廷
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☆★登場人物★☆
Jさん(被告人。20代前半の女性。かなりの美人。終始うつむきながら泣いている)
弁護1(30〜40代ぐらいの男性。大柄でコワモテ。ジャーナリストの須田慎一郎さん風)
弁護2(50代ぐらいの男性。四角い顔)
弁護3(30〜40代ぐらいの女性。目鼻立ちがはっきり)
検察官(30代ぐらいの男性)
裁判長(30〜40代ぐらいの男性。羽生善治王将風のインテリ男子)
右陪席(裁判長と同じ雰囲気の男性)
左陪席(裁判長と同じ雰囲気の男性)
Mさん(Jさんの交際相手)
Xさん(Jさんのお母様)


[弁護人による冒頭陳述]
 被告人は、5年ほど前から、暴力団員であるMと交際を始めました。
 被告人は、自分で注射ができないため、覚せい剤は、Mから注射してもらって使用していました。ただ、一度だけ自分で注射したことがあると述べています。
 被告人は、灯油に火を点けたことはありませんでした。自ら火を点けたのは、せいぜい灰皿の上で紙を燃やす程度でした。たき火をした経験すらありませんでした。つまり、火を点けて、身の丈以上に炎が出るのを、見たことがありませんでした。
 事件当時、Mは、被告人が仏壇に線香を立てたことに腹を立て、文句を言いはじめました。その後、被告人は、石油ストーブの灯油がきれたことから、給油をしました。Mは、被告人の灯油ポンプの使い方に、文句を言い、「燃やしてやる」と言って、灯油を撒きました。
 その後、口論となり、被告人はM方を出ようとしました。その時、Mは、被告人を足で蹴りました。
 被告人は、「ヨリを戻したわけではないのに、彼氏でもないのに、何で蹴られなあかんの」と、思い、灯油をかぶって、心配してくれるかどうか試すために、自ら火を点けるそぶりをしました。Mが止めようとしたため、被告人は、気持ちが落ち着きました。
 その後、再び口論となり、火を点けたらケンカが止まると思い、何も考えず、怒りにまかせて、火を点けました。
 被告人は、消火しようと枕で叩きましたが、逆に火をあおる形となって、燃え広がりました。
 被告人には、火が高く燃え上がるのを見た経験が、ありませんでした。布団、家が、燃えることを理解していませんでした。したがって、家を焼損させようという、故意、未必の故意ともになく、現住建造物等放火罪は成立しません。

[弁証]
・被害者のMさんが書いた嘆願書、謝罪文。
(「犯罪に巻き込んだことを詫びる。寛大な判決を願う」という旨)
・被告人のJさんが書いた反省文。
・Jさんが書いた火災の反省文。
(「近所の皆さんや家族に迷惑をかけた」ことを詫びる内容)
・情状証人 Xさん(被告人Jさんのお母様)
・被告人質問


 弁護人は、犯行時に家を燃やす意志がなかったので、現住建造物放火罪は成立しないという主張です。この点についてのみ、検察官と真っ向から対立しています。

 どうでもいいことかもしれませんが、たき火をした経験がないとは、驚きました。左義長や焼きイモの経験すらないのでしょうか。おじさんには想像がつきません。

 それでは、被告人Jさんのお母様、Xさんの証人尋問です。まずは、弁護1からの、主尋問です。

弁護1:「被告人の今までの人生で、これまでに、石油ストーブを使ったことはありましたか?」
Xさん:「ずっと使ってます」
弁護1:「ストーブから炎が出て危険を感じたことはありましたか?」
Xさん:「一度もありません」
弁護1:「被告人が炎を出してしまったことはありましたか?」
Xさん:「ありません」
弁護1:「あなたが炎を出してしまったことはありましたか?」
Xさん:「ありません」
弁護1:「被告人が、誰かが炎を出してしまったところを、見たことがありましたか?」
Xさん:「全くありません」
弁護1:「被告人は元々感情的になりやすいということがありますか?」
Xさん:「ないです。おっとりした子ですから」
弁護1:「では、どうしてこのような事件を起こしてしまったと思いますか?」
Xさん:「薬以外の何者でもないと思います」
弁護1:「あなたは、以前に、被告人が覚せい剤を使っていたことに、気付いていたそうですね?」
Xさん:「はい。かなり叱りました」
弁護1:「具体的にはいつ頃でしたか?」
Xさん:「えーと、**ぐらいですかねえ、Mと付き合いだした頃ですから」
弁護1:「きつく叱ったのですね?」
Xさん:「はい」
弁護1:「それ以後に気付いたことはありましたか?」
Xさん:「ないです。私が見る限りでは」
弁護1:「変わった様子は見られませんでしたか?」
Xさん:「ないです」
弁護1:「気付いたきっかけは何でしたか?」
Xさん:「普段はおっとりした子なんですが、その時は、いつもと違って、かなりケンカしていました」
弁護1:「Mも覚せい剤を使っていたのを知ってましたか?」
Xさん:「はい。彼の過去もありますし」
弁護1:「Mに覚せい剤の前科があったと知っていましたか?」
Xさん:「はい」
弁護1:「では、被告人にMとの関係を切らせなかったのは、なぜですか?」
Xさん:「彼は、家族がいなくて、うちに来た時、『オレも普通の暮らしがしたい。おとんやおかんのおる生活がしたい。オレはマジメになる』って、泣いたんです」
弁護1:「この間、2人は、定期的に会っていたのですか?」
Xさん:「はい」
弁護1:「問題はなかったのですか?」
Xさん:「はい」
弁護1:「被告人の覚せい剤使用を見逃していたのは、なぜだと思いますか?」
Xさん:「成人して、大人になったと思ってましたし、私自身…(中略)…、どうしてもJにかまってやれなかったし、成人したので安心しすぎていたと思います」
弁護1:「あなたも反省しているのですね?」
Xさん:「私が生んで育てた子ですから、自分が裁かれてると思ってます」

(略: 監督方法について。具体的な計画がある旨。ご家族が、心配、応援している旨)

弁護1:「被告人と、Mとの関係について、どういう話をしましたか?」
Xさん:「『お互いにマイナス要因なので、一緒にいても良いことがない。完全に断ち切ってやり直したほうがいい』と言いました」
弁護1:「Mとはどういう話をしましたか?」
Xさん:「年の差を感じます。彼も、『彼女は若いね』と、言ってました。『これから別の道を行ったほうがいい』と言ってきました」
弁護1:「あなたから被告人に願うことは何ですか?」
Xさん:「何もかも綺麗にして、再スタートを切ってほしいです。みんな待っているので」


 Xさんは、とてもしっかりとした口調で、娘を監督する旨を述べました。母親としての覚悟を感じました。親子関係に大きな問題はなかったと思います。

 続いて検察官からの質問です。

検察官:「あなたが、娘さんが覚せい剤を使っていると、気付いたきっかけは、何でしたか?」
Xさん:「ケンカの仕方がおかしいんですよ。普段は言わないようなことをネチネチと」
検察官:「いつ頃でしたか?」
Xさん:「**歳ごろでした」
検察官:「その後はどうでしたか?」
Xさん:「ないです。(略: 具体的なエピソードを言う)」
検察官:「娘さんがMと一度別れてから、再びMと会っていたと、分かっていましたか?」
Xさん:「一度家を出れば分からないです」
検察官:「先ほど、Mとの関係を『完全に断ち切ってやり直したほうがいい』と、おっしゃいましたが、娘さん本人は了承しているんですか?」
Xさん:「分かってくれてるはずです」
検察官:「『はずです』とは、まだ分かってもらってないということ?」
Xさん:「■■(曜日)に話しましたけど、『断ち切る時がきた』と、言ってました」
検察官:「覚せい剤を断ち切るにはどうしたらいいと思いますか?」
Xさん:「薬物に逃げないように、対処する方法を、身に付けないといけないと思います」


 検察官は、覚せい剤の使用に気付いていなかったことについて、厳しく指摘しました。

 それでは、いよいよ被告人質問です。まずは弁護1からの質問です。
 Jさんは、ずっと涙ぐんだままで、大きな声が出せず、時々言葉をつまらせました。

弁護1:「今までに灯油に火をつけたことはありますか?」
Jさん:「ないです」
弁護1:「灯油がしみこんだ布はどうですか?」
Jさん:「ないです」
弁護1:「ガソリンに火をつけたことはありますか?」
Jさん:「ありません」
弁護1:「何かを燃やしたことはありますか?」
Jさん:「灰皿の中で紙を燃やしたことがあります」
弁護1:「マッチで火をつけたことはありますか?」
Jさん:「あります」
弁護1:「たき火をしたことはありますか?」
Jさん:「ありません」
弁護1:「布団に火をつけたらどのぐらい燃えると思いましたか?」
Jさん:「少ししか燃えないと思いました」
弁護1:「想像したことはあったけど経験はなかった、ということでいいですか?」
Jさん:「はい」
弁護1:「布団に火をつける時、家まで燃えると思いましたか?」
Jさん:「燃えないと思いました」
弁護1:「布団に火をつけた時、どのぐらい燃えると思いましたか?」
Jさん:「大きく燃えるとは思いませんでした」
弁護1:「具体的にはどの程度の炎になると思いましたか?」
Jさん:「30cm……、つけた部分から」
弁護1:「高さはどのぐらいになると思いましたか?」
Jさん:「10〜15cmしか上がらないと思いました」
弁護1:「火をつけた布団の場所は、柱に近い方でしたか?」
Jさん:「遠い方です」
弁護1:「柱は布団のどちら側でしたか?」
Jさん:「足の側でした」
弁護1:「火をつけたのはどちら側でしたか?」
Jさん:「枕元です」
弁護1:「ということは、火をつけたのは、相対する辺にあった部分ですね?」
Jさん:「はい」
弁護1:「部屋の天井はどのぐらいの高さでしたか?」
Jさん:「2mぐらいです」
弁護1:「そこまで炎が届くと考えましたか?」
Jさん:「考えませんでした」
弁護1:「火をつけた時、炎はどのぐらい上がりましたか?」
Jさん:「10cmぐらいでした」
弁護1:「予測の範囲内でしたか?」
Jさん:「予測の…」
弁護1:「消そうとしましたか?」
Jさん:「枕が2つあったので、叩いて消そうとしました」
弁護1:「どうなりましたか?」
Jさん:「逆に広がりました」
弁護1:「その時Mは何をしていましたか?」
Jさん:「消火器で消そうとしました」
弁護1:「部屋を出た時にどのぐらいの炎が上がっていましたか?」
Jさん:「黒い煙が上がっていたので分かりませんが、肩ぐらいまではあったと思います」
弁護1:「『布団に火をつけたら家に燃え移ると分かっていました』と書いてある調書にサインをしたのはなぜですか?」
Jさん:「刑事さんに『調書というのは結果論の話だから』と言われて、当時はそう思っていなかったけど、『そう言われるとそうかも』と思ってサインしました」
弁護1:「違うことを述べたけど、結果的に家が燃えたのだからサインする気になったと、こういうことですか?」
Jさん:「はい」
弁護1:「自白の強要はありましたか?」
Jさん:「ありませんでした」
弁護1:「Mとのケンカの理由は何でしたか?」
Jさん:「Mさんの相談にのってたんですけど、Mさんのお母さんの位牌に線香をつけようと思って行ったら、『相談の途中に行くなんて話を聞いてない』と言われました」
弁護1:「その後、一度家に帰ってますよね。これはどうしてですか?」
Jさん:「友達に■■■を借りてたんですけど、返そうと思って、取りに帰ってました」
弁護1:「その時、覚せい剤の影響はありましたか?」
Jさん:「ないと思いました」
弁護1:「こういうことになったから、今考えるとどうですか?」
Jさん:「あったと思います」
弁護1:「石油ストーブをつけに行った時、Mが怒ったそうですね。これはどうしてですか?」
Jさん:「灯油ポンプの使い方が悪くて、私が遅かったので、『遅い!』と」
弁護1:「その後、どうしてまたケンカになったのですか?」
Jさん:「どうしてって…、難しい………」
弁護1:「では、なぜMは、灯油を撒いたのですか?」
Jさん:「彼自身もイライラしていたんだろうと思います」
弁護1:「イライラしているだけでは灯油は撒かないと思いますよ」
Jさん:「覚せい剤の影響あったと思います」
弁護1:「その後、あなたはMに蹴られるんですが、どういう経緯だったんですか?」
Jさん:「■■■(友人に借りた物)を■■■■■■■したいと思って、家を出ようとしたら、『まだ話が終わってない!』と、目の上を蹴られました」
弁護1:「蹴られてどう思いましたか?」
Jさん:「ハッキリ付き合ってもないのに、どうしてそんなことするのかと、イライラしました」
弁護1:「その後はどうしましたか?」
Jさん:「灯油をかぶりました」
弁護1:「Mが撒いた灯油の残りを、かぶったということですか?」
Jさん:「はい」
弁護1:「どういうつもりでしたか?」
Jさん:「カッとなったのと、ムシャクシャしてました」
弁護1:「自殺するつもりはありましたか?」
Jさん:「ありません」
弁護1:「脅しというような意味ですか?」
Jさん:「はい」
弁護1:「マッチをつけましたか?」
Jさん:「そこまでは怖くてできませんでした」
弁護1:「つけられる状況ではありましたか?」
Jさん:「はい」
弁護1:「その後、Mはどうしましたか?」
Jさん:「『火をつけたる!』と言いました」
弁護1:「火をつけるそぶりはしましたか?」
Jさん:「してません」
弁護1:「Mから言われて、あなたはどう思いましたか?」
Jさん:「まだそんなこと言うのかと、カッとなりました」
弁護1:「カッとしてどうしました?」
Jさん:「近くにあったライターで火をつけました」
弁護1:「その当時は、燃え広がると、考えましたか?」
Jさん:「その時は考えなかったです」
弁護1:「燃え広がったのを見てどうしましたか?」
Jさん:「ビックリして、火の回りが速くて、急いで消そうとしました」
弁護1:「次に、覚せい剤についてうかがいますが、最初のきっかけは何でしたか?」
Jさん:「Mと付き合った頃、覚せい剤をやってるの知ってましたし、興味もあったので、使ってしまいました」
弁護1:「お母さんに叱られて以降も使っていましたか?」
Jさん:「はい」
弁護1:「どこで使ってましたか?」
Jさん:「彼の家でも、(自分の)家でも」
弁護1:「何回ぐらい使いましたか?」
Jさん:「20回ぐらいです」
弁護1:「もし、覚せい剤をやっていなかったら、今回の事件はどうなっていたと思いますか?」
Jさん:「火をつけるとか、やってなかったと思います…(泣いて言葉がつまる)」
弁護1:「今回の事件で誰に迷惑をかけましたか?」
Jさん:「彼の家の近所には、お年寄りがたくさんいるんですよ。(泣きながら)一歩間違えたら、取り返しのつかないことになって………。申し訳ない気持でいっぱいです」

(略: 今後の生活に関する質問)

弁護1:「目標は何ですか?」
Jさん:「■■■■が好きなので、仕事しながら、資格取って頑張りたいです」
弁護1:「家族に対してはどう思いますか?」
Jさん:「辛い思いをさせたと…」
弁護1:「家族に対する手紙ですが、初めの1〜2通について、私が何と言ったか憶えてますか?」
Jさん:「『これじゃあちゃんと考えてない』」
弁護1:「捕まってから自分なりに考えた、ということですか?」
Jさん:「はい」
弁護1:「Mとの関係はどうしますか?」
Jさん:「まず、社会復帰後は、考えることがいっぱいあるので………、自分がしっかりしてから考えたいと思います」
弁護1:「最後に何か言いたいことはありますか?」
Jさん:「私の勝手な行動で、近所の人々や、家族に迷惑をかけて、申し訳ないと思っています」


 Jさんは、涙ながらに、反省の弁を述べるのでした。

 私はいくつか気になった点があります。以下に書き出します。

「Mさんの相談にのってたんですけど、Mさんのお母さんの位牌に線香をつけようと思って行ったら、『相談の途中に行くなんて話を聞いてない』と言われました」
「灯油ポンプの使い方が悪くて、私が遅かったので、『遅い!』と」
「■■■(友人に借りた物)を■■■■■■■したいと思って、家を出ようとしたら、『まだ話が終わってない!』と、目の上を蹴られました」

 これらの点から2つのことが分かります。

1.Mさんは、少なくとも当時は、些細なことに腹を立る傾向にあった。
線香をつける、給油が遅い、借りた物を返しに行く、これらは大喧嘩するほどの理由とは思えません。

2.Jさんは突然冷静な行動をとった。
 Mさんが怒っているというのに、位牌に線香をつけたり、ストーブに給油したり、借りた物を返そうとしたり、冷静に行動しています。

 Mさんは、Jさんが冷静な行動をとるたびに、「話を聞いてない」と、怒りをあらわにしていたようです。
 Mさんは、よっぽど何かを聞いてほしかったのでしょうね。しかし、Jさんは後に、「ヨリを戻したわけではないのに、彼氏でもないのに」と、考えることになるのです。
 覚せい剤の影響があったためなのか、それとも元々なのか、どうにも噛み合っていないような印象を受けます。Xさんが、「お互いにマイナス要因」と話すのも、分かるような気がします。

 続いて、弁護2からの質問です。

弁護2:「部屋を出る時に炎はどれぐらい上がってましたか?」
Jさん:「肩ぐらいです」
弁護2:「後から確認してないですか?」
Jさん:「してないです」
弁護2:「石油ストーブの着火方式は何でしたか?」
Jさん:「ひねるものです」
弁護2:「やけどしたことはありますか?」
Jさん:「熱湯がかかってしたことがあります」
弁護2:「炎ではありませんか?」
Jさん:「タバコの灰とかならあります」
弁護2:「炎が出て熱いと思いをしたことはありませんか?」
Jさん:「ありません」


 放火に関する質問でした。

 続いて検察官からの質問です。

検察官:「あなたの家では石油ストーブを使っていたんですよね?」
Jさん:「はい」
検察官:「M宅では石油ファンヒーターを使っていましたね?」
Jさん:「はい」
検察官:「小さい頃に、石油ストーブに近づいて、『危ない』と言われたことはありませんでしたか?」
Jさん:「近くで暴れてると、『危ない』と、叱られました」
検察官:「なぜ近づいたらダメなんでしょうか?」
Jさん:「ヤケドしたらいけないからです」
検察官:「あなたは先ほど、『脅しのために火をつけた』と言いましたが、どうして火をつけたらケンカが終わると思ったんですか?」
Jさん:「少しでも驚いたら終わると思いました」
検察官:「火をつけるフリだけでも良かったんじゃないですか?」
Jさん:「□*○#@△$×&@……(聞き取れませんでした)」
検察官:「それまで、お互いに、何でつけなかったんですか?」
Jさん:「分かりません」
検察官:「灯油をかぶった時に、マッチを点けるフリだけをしたのは、何で?」
Jさん:「燃えると思ったからです」
検察官:「何が?」
Jさん:「□*○#@△$×&@…服…」
検察官:「ライターで火をつけた時には、火がつくと思わなかったんですか?」
Jさん:「火をつけた時には考えませんでした」
検察官:「炎が広がっていくと思いませんでしたか?」
Jさん:「その時は思ってなかったです」
検察官:「服が燃えると思ったのに?」
Jさん:「その時は思い付きませんでした」
検察官:「『どうでもいい』という気持ちがあったんじゃないの?」
Jさん:「あったかもしれません」
検察官:「Mが灯油を撒いたのは、布団のどの場所ですか?」
Jさん:「真ん中ぐらいです」
検察官:「あなたがかぶったのは布団にかかってたの?」
Jさん:「はい」
検察官:「火は枕元につけたんですよね?」
Jさん:「はい」
検察官:「火をつける段階で、燃え移らないように気を付けるべきではなかったの?」
Jさん:「はい?」
検察官:「例えば、手に持ってる物につけるとか」
Jさん:「(略: メモできませんでした)」
検察官:「警察での取り調べで署名を拒否したのは何でなの?」
Jさん:「署名していいものかどうか分からなかったので、弁護士さんに相談してからにしようと思いました」
検察官:「弁護士からは何と言われてたんですか?」
Jさん:「弁護士さんからは、『簡単に署名したらダメだから。分からなかったら相談して』」
検察官:「じゃあ、その後の調書に、何で署名したんですか?」
Jさん:「刑事さんに、『調書は結果論だから』と言われて、取り調べの経験がなくて、そういうものかと思いました」
検察官:「警察には、書いてあることが違うと、何で言わなかったんですか?」
Jさん:「すごい熱心に説得されたんですよ。『結果論だから結果論だから』って。だから…」
検察官:「では、覚せい剤について聞きますけど、何でまた覚せい剤を使ったんですか?」
Jさん:「気分がいいということで、また…」
検察官:「やめなければいけないという気持ちはありましたか?」
Jさん:「はい」
検察官:「何でやめられなかったんですか?」
Jさん:「そこまで怖いものだと思いませんで…」
検察官:「怖い行動した経験はないの?」
Jさん:「ないです」
検察官:「じゃあ、何を持って、『火をつけたのは覚せい剤の影響』だと言うんですか?」
Jさん:「普段は火をつけたりとかしないので、だから、覚せい剤の影響だと…」
検察官:「今後は、覚せい剤、どうするつもりですか?」
Jさん:「今回のことで、怖いモノということが分かりましたので、もう使いません」
検察官:「Mも、あなたも、はっきり別れると言ってないけど、大丈夫なんですか?」
Jさん:「今は自分がしっかりしないといけないので、別れるとか、別れないとか、考える余裕がありません」


 さすがにプロの仕事ですね。灯油をかぶった時に「燃えると思った」のだから、「火をつけた時には考えませんでした」という主張は矛盾していると、上手に指摘しました。

 だからといって、Jさんがウソを言っているとは、必ずしも言えないと思います。思ってしまったものは仕方がないからです。
 私も、しょっちゅう、理屈に合わないことを考えます。
 故意は、本人の供述だけでは、なかなか判断が難しいと思いました。
 だからこそ、刑事が、「結果論だから結果論だから」と言って、署名を説得したのかもしれません。

 どうしても心配なのは、Mさんと別れると、断言しなかったことです。たぶん、Xさんがおっしゃるように、「一緒にいても良いことがない」でしょうし、覚せい剤をやめるにあたって重要な点です。今のところ、入手経路はMさんだけですから、会わなければ、物理的には断ち切れます。しかも、Jさんは、「別れる」と誓うことで、情状が有利になったはずです。

 覚せい剤をやめるために重要であること、お母様が望んでおられること、これらの点が分かっていないように感じられて、心配になりました。

 最後に、裁判官からの質問です。

裁判官:「Mが撒いた灯油はどのぐらいの量でしたか?」
Jさん:「はっきり分からないです。検事さんが言うには洗面器2〜3杯ぐらいです」
裁判官:「かなりの量と思うけど、染みは50cmぐらいと書いてますね。自分にかぶったのはどれぐらいですか?」
Jさん:「洗面器1杯ぐらいです」
裁判官:「左肩からかぶったんですか?」
Jさん:「はい」
裁判官:「皮膚に炎症が起きたんじゃないですか?」
Jさん:「かなり炎症が起きました」
裁判官:「そうすると、かなりの量をかぶったんじゃないですか?」
Jさん:「そのまま洗い流さなかったので、炎症になったみたいです」
裁判官:「あなたは枕、Mは布団で、叩いて消そうとしたけど、逆にあおるような形になったということですね?」
Jさん:「はい」


 この日はここで終わりました。論告弁論は次回に行われます。

 Jさんは、奥の扉へと消える寸前に、「バイバイ」を言うように、手を振りました。その相手はご家族だったのでしょう。
 私には、その無邪気そうな姿が幼く見えて、余計に悲しく感じました。
 頭の中では、「どうして覚せい剤なんか使ったんだ。どうしてMさんと別れると言えないんだ」という憤りと、「こんな若い人に、気が動転してライターをつけただけなのに、近所に燃え移らなかったのに、放火罪の責任を負わせる必要があるのだろうか」という疑問がぶつかり、渦を巻いていました。

 法廷の様子はここまでで終わります。


 さて、Jさんは、犯行時に何も考えていなかったと、主張しています。以下、犯行時の考えを述べた部分を、書き出します。

「家ごと燃やしてやるつもりはなかったが、布団に火を点ければ家に火が燃え移るとは思っていた」(乙号証より)
「カーッとなってやったのでそこまで考えなかった」(乙号証より)
「火を点けたらケンカが止まると思い、何も考えず、怒りにまかせて」(弁護人による冒頭陳述より)
「まだそんなこと言うのかと、カッとなりました」(被告人質問より)
「(家まで)燃えないと思いました」(被告人質問より)
「その時は考えなかったです」(被告人質問より)
「火をつけた時には考えませんでした」(被告人質問より)
「(『どうでもいい』という気持ちが)あったかもしれません」(被告人質問より)


 乙号証に「布団に火を点ければ家に火が燃え移るとは思っていた」という供述がある以外は、一貫して「考えてなかった」と主張しています。
 これは、本当に何も考えてなかったからと、言えるのではないかと思いました。

 意地悪に解釈すると、弁護人によって、「家を燃やすつもりがなかったと言うように」と、ウソをつくよう、指導を受けていたとも考えられます。しかし、さすがにそれは陰謀論めいており、現実味がないように思えます。それに、立証するには本人達の証言が必要で、私にはどうすることもできません。とりあえず、その可能性は外しておきます。

 では、なぜ、灯油をかぶった時点では「(服が)燃えると思った」のに、犯行に及んだ時点では「(家が燃えると)考えてなかった」のでしょうか?

 もちろん、一つには覚せい剤の影響があったのかもしれません。しかし、Jさんだけでなく、Mさんも覚せい剤を使用していたはずです。
 では、なぜ同じ状況のMさんが火をつけなかったというのに、Jさんが火をつけてしまったのでしょうか。
 JさんとMさんの違いは何か。それは、女と男、つまり性別です。性別によって違うのは身体の構造です。

 診療内科医の姫野友美さんのご著作「女はなぜ突然怒り出すのか?」によりますと、女性の脳について記されています。
前交連は視床下部の情報に位置する「情動情報」の連絡通路。女脳は、この通路が男脳よりも太く、多くの情報を流すことができる。

「女はなぜ突然怒り出すのか?」(姫野友美 著、角川書店 発行)
 このような感情の洪水に見舞われているとき、おんなはいろんな気持ちが一斉に押し寄せてきて、怒っていいのか、笑っていいのか、それとも泣けばいいのか、どの感情をとったらいいのか自分でも皆目わからなくなる。これは一種のパニック状態だといっていい。
(引用元同じ)

 たぶん、Jさんは、些細な理由からケンカになって、しかも顔面を足蹴にされて、一瞬だけパニック状態になったのだろうと思います。だから、直前まで「(服が)燃えると思った」のに、犯行時だけ「(家が燃えると)考えてなかった」のではないでしょうか。

 では、それを理由に、故意がなかったとして、無罪にすべきなのか。
 難しい問題です。
 ただ、そんなことを認めたら、女性がパニック状態になって起こした犯罪は、ほとんど無罪になってしまいます。

 こういう場合に、未必の故意があったとして、有罪になるのでしょうか。
 本件での未必の故意は、「家を燃やすつもりはなかったが、火をつけたらそうなるかもしれないことが分かっていて、かまわないと思って火をつけた」といったところです。
 被告人質問には、事前に家が燃えると分かっていたかどうか、気になるやりとりが二つあります。

弁護1:「その当時は、燃え広がると、考えましたか?」
Jさん:「その時は考えなかったです」

検察官:「『どうでもいい』という気持ちがあったんじゃないの?」
Jさん:「あったかもしれません」

 前者を見る限りでは、犯行時に炎が燃え広がるという認識はなく、未必の故意すらなかったように思えます。しかし、後者では、火をつけた結果がどうなってかまわないと考えており、未必の故意が成立しているように思えます。
 まあ、これは、法律の素人が考えても答えが出ないので、判決を待つしかないのかもしれません。それと、社会通念上という、「状況から普通に考えて分かってたはずでしょ」「分かってなかったはずでしょ」という考え方があるみたいなので、他の証拠と比較して判断する必要があるのでしょう。

 ただ、未必の故意(もちろん故意でも)があったと判断された場合、現住建造物等放火罪は「死刑または無期、あるいは5年以上の懲役」です。これでは執行猶予(3年以下の懲役か、禁固または50万円以下の罰金の場合)がつきません。
 Jさんは、初犯ですし、犯行に至った状況を考えると、5年も懲役させる必要があるようには思えません。理屈の上では、酌量減軽(2分の1)と法律上の減軽(2分の1)がありますから、執行猶予の可能性もあるにはあります。それは、法律上の減軽がなければ、裁判所の裁量次第なのだそうです。

 ですから、判決のポイントは、

1.放火の 故意、未必の故意 があったのか否か?
2.故意、未必の故意があったとすれば、有利な事情をどこまで認めるのか?
3.被告人は社会内での更生が適切か、それとも矯正施設で更生教育を受けさせるべきか?

この3点だと思います。

 これ以上のことは、論告弁論を待って考えることにします。


 ところで、Jさんは、たき火をしたことがないと述べています。おじさんの私からすると、「そんなバカな!」と言いたくなるぐらい無茶な話で、ちょっと信じられません。

 とりあえず、Jさんが子どもの頃に何かあったのではないかと、“聞蔵 II”を利用して、朝日新聞を調べてみました。

先月の火災154件、14年で最悪 乾燥と強風影響か

…原因別では、タバコやたき火、焼却炉からの飛び火といった、小さな火種から引火した例が五十九件。

朝日新聞 愛知(1996年5月3日付朝刊)朝日新聞記事データベースより
各地で火事相次ぐ 乾燥注意報発令中の県内

 あぜ焼きの火やたき火が燃え広がりやすい状況が続いており、各地の消防局などは、強風の火には火を燃やさず、消火を徹底するよう呼びかけている。

朝日新聞 鳥取(1997年4月16日付朝刊)朝日新聞記事データベースより


 たき火が原因の火事はあるでしょうね。ちょっと時期がずれますが、1999年の、「出火原因ごとの火災発生状況」を見てみます。

(1) 全火災
 全火災58,534件を出火原因別にみますと、以下のとおりです。
放 火       7,482件(12.8%)
たばこ       6,415件(11.0%)
こんろ       5,503件( 9.4%)
放火の疑い     5,357件( 9.2%)
たき火       3,541件( 6.0%)
火あそび      2,194件( 3.7%)
ストーブ      1,940件( 3.3%)
電灯・電話等の配線 1,397件( 2.4%)
火入れ       1,066件( 1.8%)
マッチ・ライター  1,054件( 1.8%)
配線器具      957件( 1.6%)
排気管       864件( 1.5%)
電気機器      859件( 1.5%)
焼却炉       824件( 1.4%)
溶接機・切断機   681件( 1.2%)
その他       11,275件(19.3%)
不明・調査中    7,125件(12.2%)

「総務省消防庁【平成11年(1月〜12月)の火災の概要(概数)(平成12年3月16日)】」より
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/statistcs/h11_4.html

 たき火は、全火災中の6.0%で、原因としては5位となっています。決して少ないとは言えません。やはり、たき火による火災を防ぐために、たき火が敬遠されるようになっていったのでしょうか。

 ところが、火災種別ごとに見ていくと、ちょっと違う数字が浮かび上がってきます。
(2) 建物火災(爆発を除く)
 爆発を除く建物火災33,209件を出火原因別にみますと、以下のとおりです。
こんろ       5,392件(16.2%)
たばこ       3,748件(11.3%)
放 火       3,650件(11.0%)
放火の疑い     2,282件( 6.9%)
ストーブ      1,905件( 5.7%)
電灯・電話等の配線 1,061件( 3.2%)
火あそび      1,031件( 3.1%)
配線器具      758件( 2.3%)
たき火       638件( 1.9%)
電気機器      629件( 1.9%)
風呂かまど     611件( 1.8%)
灯 火       564件( 1.7%)
マッチ・ライター  552件( 1.7%)
溶接機・切断機   417件( 1.3%)
煙突・煙道     352件( 1.1%)
その他       5,508件(16.6%)
不明・調査中    4,111件(12.4%)

(3) 林野火災(爆発を除く)
 爆発を除く林野火災2,663件を出火原因別にみますと、以下のとおりです。
たき火       755件(28.4%)
たばこ       420件(15.8%)
火入れ       267件(10.0%)
放火の疑い     216件( 8.1%)
火あそび      159件( 6.0%)
放 火       82件( 3.1%)
焼却炉       36件( 1.4%)
マッチ・ライター  29件( 1.1%)
取 灰       10件( 0.4%)
溶接機・切断機   5件( 0.2%)
煙突・煙道     4件( 0.2%)
電灯・電話等の配線 3件( 0.1%)
こんろ       3件( 0.1%)
かまど       3件( 0.1%)
排気管       2件( 0.1%)
その他       227件( 8.5%)
不明・調査中    442件(16.6%)
(引用元同じ)


 どうやら、たき火による火災は、ほとんどが林野火災のようなのです。住宅街でのたき火が敬遠される理由にはなりません。1.9%の原因を嫌うというのは不自然です。世間の人々はそんなにバカではありません。別の理由があるのでしょうか?
イモ掘り楽しいな でも、今年は焼けないよ 五条の幼稚園

…去年は、たき火で焼きイモをして園児に食べさせたが、今年は「ダイオキシンを出す恐れがあるたき火はできないから」と取りやめた。「燃やしても有害物質を出さない枯れ木や木の葉を使えばいいのに」の声も……。

朝日新聞 奈良(1997年10月24日付朝刊)朝日新聞記事データベースより

 そういえばダイオキシンが話題になった時期がありました。この記事は10年前ですから、Jさんが子どもの頃です。

 もしかしたら、「サリンの17倍」と恐れられたダイオキシンへの不安が、建物火災1.9%の原因を嫌うきっかけになったと言えるのではないでしょうか。
 他にも、臭い、洗濯物が汚れる等、たき火による周囲への影響はあります。今までは気にならなかったけど、猛毒のダイオキシンに不安を感じてから、恐ろしく思えてきたのではないでしょうか。

 ダイオキシンへの不安が、たき火による火災の心配を増幅させて、ただよってくる臭いや、洗濯物に付着した灰に、嫌悪感を抱かせるようになったのではないか?
 そして、たき火への批難、抗議があがるようになり、住宅地でのたき火は減少していった…。

 もし、それが正しかったとしても、他にも炎を見る機会はあります。
 私が通っていた中学校には、小型の焼却炉があって、その前にも焼却用の穴が掘ってありました。焼却炉でも、穴でも、大きな炎が燃えていました。
 Jさんは、中学在学中の3年間、一度も焼却炉に近づかなかったとでも言うのでしょうか?

県立校の焼却炉廃止へ ダイオキシン対策で 愛知県教委

  愛知県教委は四日までに、高校や養護学校など県立学校百八十五校の小型焼却炉を廃止する方針を固めた。
(中略)
 県教委管理課によると、県立学校のごみ処理費用は年間約三千万円。焼却炉の廃止によって数倍に膨らみ、一億円前後になる見通しだが、市町村のごみ回収ルートに載せて経費削減に努める。

朝日新聞 愛知(1997年8月15日付朝刊)朝日新聞記事データベースより


 いつの間にか、学校の焼却炉は、廃止されていたようです。これは、あくまでも県立学校に関する記事ですが、市町村立学校も足並みを揃えたと考えて良いと思います。

 その後、ダイオキシン類対策特別措置法(平成12年1月15日施行)が制定されるなど、ごみの焼却はもちろん、たき火がやりにくい世の中になっていったようです。

 いつの間にか、我々の周りでは、火のない暮らしが始まっていました。

 こういう事情があったのだから、20代前半のJさんにたき火の経験がなかったとしても、不思議ではないのかもしれません。
 こうしておじさんは、彼女の主張に信憑性を感じたのでした。

 では、Jさんがたき火をしたことがあったら、本件は起こらなかったのでしょうか?
 それは何とも言えません。Mさんから足蹴にされていましたし、覚せい剤の影響があったかもしれません。かなり特殊な状況下の犯行です。
 とはいえ、子どものうちに、火の恐ろしさや、火の始末の大切さを学んでおくのは悪くないと思います。
 安全な場所で、有害物質の出にくいものを燃やして、消火作業を体験させる。つまり、地域や学校が、消防署(要は専門家)に協力してもらいながら、子ども達を訓練する。

 それによって、取り乱したときにも、安易に火をつけなかったり、正しい消火の方法を選択できるようになります。いえ、「なります」とは言い切れませんが、その可能性を高めることはできます。

 個人で行うのは、安全性の確保や近隣住民の理解を考えると、難しいかもしれません。もし、回覧板や広報等を見ていて、そういう機会を見つけたら、一度ぐらいは参加する価値がありそうです。

 当然ながら、子ども達だけを訓練しても、効果は15年後ぐらいに発揮されるだけですので、大人も訓練する必要があります。

 私は、ずっと前に、消火器を使った訓練を受けたことがあります。炎の勢いがなかなかおさまらず、熱に負けてしまいそうで、苦労しました。実際に使ってみると、想像と違っていたことに気付いて、驚くとともに、自信がつきました。

 消火器には、普通火災用、油火災用、電機火災用の、3種類の表示があります。ご自宅の消火器を確認して下さい。ただし、表示があったからといって、消火器で必ず消火できるとは限りません。
 最も普及しているABC粉末消火器は、3種類の火災に対応していますが、使い方によって消火がうまくいかないこともあるようです。
火炎を急激に減衰させる点では非常に効果的な消火器であり、最も普及しており、ガソリン・ガスの火災には非常に好適であるが、放射が止まると一部でも火種があればまた元通りに炎上してしまう。使う人により十分に能力を発揮できない場合も多い。

「消火器」(Wikipedia の執筆者たち 著、Wikipedia 発行)フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B6%88%E7%81%AB%E5%99%A8
 こういうことを知っていれば、火災になったとき、少しは効果的な消火ができるでしょう。
 もっとも本件では、消火器を持ち出したときには勢いよく炎が上がっており、すでに消火は困難だったのかもしれませんが。

 最後に、パニック状態の女性に対して、男はどう振る舞うと無難なのか、もう一度「女はなぜ突然怒り出すのか?」を頼ってみます。そもそも、ケンカがこじれなければ、少なくとも放火事件にはならなかったでしょう。
 結局、こうした感情の爆発は自分自身にぶつけられているもの。泣いて、わめいて、ひと段落すれば、涙や大声でストレス・ホルモンが放出されて落ち着いてくるはずだ。(26ページ)

「女はなぜ突然怒り出すのか?」(姫野友美 著、角川書店 発行)

 また、はちみつを入れたホット・ミルクなら、イライラを沈めるカルシウムも豊富。はちみつに含まれるビタミンB6は感情を抑えるホルモンのセロトニンをアップさせることもできるだろう。
(引用元同じ)

 本件では、口論が続いていた上に、覚せい剤を使っており、二人とも興奮状態でした。ですから、さすがにホット・ミルクを飲むような余裕はなかったでしょうし、効果もなかったかもしれません。それに、先に怒り出したのは男性でした。

 私が思うに、たいていの被告人は、覚せい剤やケンカ、貧困や病気、金銭トラブルや酒など、ちょっとしたマイナス要因が積み重なって、判断力が鈍り、犯行に至っています。一つ一つは取るに足らない出来事かもしれませんが、瞬間的に2つ3つと積み重なることで、普段通りの行動ができなくなってしまいます。そして、犯罪を決めるのは、道徳や常識ではなくて、法律です。「私に限ってそんなことしない」と言えるとしたら、よほど意志の強い方か、法律に詳しい方か、お金持ちでしょう。
 もし、一つ一つのマイナス要因を放置しないで、普段から少しでも向き合っていたら、事件を起こす確率を減らせるかもしれません。被害を大きくしないですむかもしれません。

 ま、ここでは、恋人と覚せい剤を使うと、気分が良くなることもあるが、取り返しのつかない大ゲンカをすることもある。そう覚えておきましょう。
 恋愛なんですから、他にも楽しいことがあるじゃないですか。別のことで気分を良くしましょう。

 そして、ケンカをしたら、適当に相づちを打って聞き流し、はちみつを入れたホット・ミルクを飲む。
 案外、恋愛の魔法って、地道な努力の積み重ね、なのかもしれませんね。

◎今回分かったこと
・パニック状態にお気をつけ下さい。
・女性は、脳の情動情報の通路が太いので、感情の洪水が起こりやすいようです。
・大きな炎を見たことがない人もいます。
・それは、若い世代に多いのかもしれません。
・たき火は林野火災の大きな原因です。
・ダイオキシンへの恐怖と、火災の危険、臭い、煙害などによって、たき火と小型焼却炉が減っていきました。
・消火作業の訓練をしておきましょう。
・交際相手を家に呼ぶときは、牛乳とはちみつを用意しておきましょう。

参考文献:
「女はなぜ突然怒り出すのか?」(姫野友美 著、角川書店 発行)
「聞蔵II」朝日新聞記事データベース
http://database.asahi.com/library2/
「消防庁」
http://www.fdma.go.jp/
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/

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「女はなぜ突然怒り出すのか?」(姫野友美 著、角川書店 発行)

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