[PR]
総合離婚情報「リコナビ」
なぜか人気の防犯アイテム「センサーライト」で侵入者を静かに撃退!

2007年08月11日

パン盗が発覚してかみつき! やせ細ったおばあちゃんがどうして!?

 被告人は、やせ細ったおばあちゃんで、他人の家の軒先からパン他1点(628円相当)を盗んだ疑いで、窃盗の罪に問われています。さらに、住人に見つかって取り押さえられた時、手にかみついたため、傷害の罪にも問われています。

 彼女は、以前にも万引きをしたことがあり、全て微罪処分になっていました。
 不可解な犯行の裏にはどんな事情が隠されていたのでしょうか。


【注意事項】
 この記事は、私が裁判傍聴で必死こいて書き殴ったメモを元に、なんとか記憶を辿って書いたものです。もしかしたら、実際に裁判で起こったことと、全然違うかもしれません。
 また、私に法律の知識はありません。
 偏った思いこみや思想が文章に紛れ込んでいるかもしれません。極力避けるように努力します。ご了承下さい。
 この記事が事件の真実を言い当てることなどございません。
 無いとは思いますが、無断転載はご遠慮下さい。引用は法律を守ってご自由にどうぞ。
 リンクはご自由にどうぞ。ただし、画像等への直リンクはおやめ下さい。
 登場人物のイニシャルは本名と無関係です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《パン盗が発覚してかみつき! やせ細ったおばあちゃんがどうして!?》
【窃盗】【傷害】『新件』
名古屋地方裁判所706号法廷
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★登場人物★☆
Rさん(被告人。60代の女性。小柄でやせ細っている。岸田今日子さん風)
Xさん(Rさんの夫。70歳ぐらいに見える男性)
弁護人(30代ぐらいの男性。大柄でがっちり。あごひげ。体育会系。学生時代はラグビー部?)
検察官(40〜50代ぐらいの男性。頼りがいのあるインテリ二枚目。大和田伸也さん風)
裁判官(40代ぐらいの男性。長身でやせ形。優しい口調)


 この裁判は、小法廷で行われたのですが、どういうわけか満席でした。席がないため、傍聴できない方もおられました。
 気の毒ですが、必ずしも見せるために傍聴席があるのではないので、しかたがありません。国家には、いつでも誰でも法廷に入れるようにしておく義務があり、それが「公開法廷」です。しかし、希望者全員に見せてあげる義務は、どこにもないはずです。傍聴を断られたら素直にあきらめましょう。どうしても見たい裁判があったら早めに行きましょう。ただし、事件の関係者(被害者等)であったら、裁判所が対応してくれると思います。
 なお、不満のある方は、憲法や法律の改正を、国会議員に陳情されるとよいかもしれません。

 さて、そんな満員の法廷に、小柄でやせ細ったおばあちゃんが、刑務官に付き添われて入廷されました。彼女が、本件の被告人、Rさんです。
 Rさんは、腰縄と手錠を外され、長椅子に座ると、体を硬直させ、目をいっぱいに見開きました。黒目がめいっぱい大きくなって、目玉が小刻みに震えているようでした。
 その姿は、極度の緊張か、恐怖を連想させるものでした。


[起訴状朗読の概要]
 公訴事実
 被告人は、第1に、平成19年*月*日午後5:15頃、■■被害者方において、パン他1点(628円相当)を窃取し、第2に、被害者にかみつき、全治5日の両手背挫傷の傷害を負わせたものである。
 罪名及び罰条  窃盗 刑法第235条  傷害 刑法第204条


裁判官:「今読んでもらった公訴事実に何か間違ったところはありましたか?」
Rさん:「……………………………………ないと思います…………………………いいと思います」

 Rさんは、消え入りそうな声で、どうにか答えました。

[冒頭陳述の概要]
 被告人には、窃盗による前歴があり、いずれも万引きで、微罪処分となったものが4件あります。
 事件当日、スーパーで食料品を購入し、帰宅する途中、被害者宅前を通りがかった際に、被害品が入った箱を見つけました。被告人は、「今日買った物を冷凍して、これを今日の分にすれば、食費が浮く」などと考え、犯行を決意しました。
 被害者が、犯行に気づき、被告人の両手首を押さえて捕まえようとしました。被告人は、被害者の手にかみつき、公訴事実記載の傷害を負わせました。
 事件に気づいた被害者の娘が110番通報し、駆け付けた警察官によって現行犯逮捕されました。

[検察官立証(一部省略)]
【甲号証】
現行犯人逮捕手続書 被害届 被害者による検察官に対する供述調書 被害品の写真 現場の写真 実況見分調書 診断書 被害者の娘による巡査に対する供述調書 病院職員による供述調書 被告人の夫による供述調書(被告人の生活状況等)

【乙号証】
身上経歴 警察官に対する供述調書(犯行の経緯、状況) 検察官に対する供述調書 犯罪歴 身上照会回答


[弁護人立証]
示談書 受領書 夫による謝罪状 被告人による反省文 情状証人(夫) 被告人質問


 検察官、弁護人、それぞれ「全て同意」ということで、採用して取り調べることになりました。

 では、Rさんの夫、Xさんの証人尋問です。Xさんが証言台まで呼ばれました。
 ここのやりとり、一度も詳しく書いたことがないので、記憶を頼りに再現してみます。正確ではないと思いますが、だいたいこんな感じで行われています。

裁判官:「住所、氏名、年齢、職業は、記載していただいた通りで間違いないですね?」
Xさん:「はい」
裁判官:「では、ウソをつかないという宣誓をしてもらいますので、宣誓書を読み上げて下さい」

(廷吏が宣誓書を渡す)

Xさん:「良心に従って本当のことを申します。知っていることを隠したり、ないことを申したりなど決していたしません。以上の通り誓います。平成**年*月*日、X■■■■」
裁判官:「はい。ウソをつかないという宣誓をしましたので、あえて記憶と違うことを言うと偽証罪に問われることがあります。注意して下さい」
Xさん:「はい」
裁判官:「では、証言台の前のイスに腰掛けて下さい」
Xさん:「いえ、家内が起こした事件ですので立ってお話します!」
裁判官:「立ったままでいいんですか?」
Xさん:「いいです」
裁判官:「では立ったままでお願いします。では、弁護人どうぞ」


 私は、証人自ら「立ったままで」と希望するのは、初めて見ました。
 傍聴マニアの中には、特に被告人質問に対して、 “座らせる=甘い扱い” という印象を持たれる方もいるようです。確かに、裁判官は、体の悪い被告人を除いて、けしからん事件を起こした被告人を立たせたままにすることがあります。
 Xさんは、「加害者の夫である自分が座ることは許されない」というような気持ちで、このような希望をしたのかもしれません。

弁護人:「事件当日の夕刻、奥さん帰ってこないなあと思って、探しに行ったそうですね?」
Xさん:「何か問題あったかと思って。今時イロイロ時間を区切っておりましたので」
弁護人:「『時間を区切って』とおっしゃいましたが、奥さんには、夜は何時頃までに帰る約束にしていましたか?」
Xさん:「夜は6時という」
弁護人:「ちなみに朝は何時までという約束でしたか?」
Xさん:「12時です」
弁護人:「それで当日の話に戻りますが、1時間ほど探しに出て、その後はどうしましたか?」
Xさん:「『ひょっとして事故でも?』と思い、警察のほうに電話したら『出頭してくれ』と言われました」
弁護人:「その時点で奥さんが事件を起こしたと思いましたか?」
Xさん:「思っていません」
弁護人:「警察に行ったらどのような説明を受けましたか?」
Xさん:「人にかみついた、もの盗ったと。このまま帰せないので買った物だけ持って帰ってくれ、と言われました。」
弁護人:「これまで、奥さんは、万引きは何度かあったけど、相手にケガさせたことはありましたか?」
Xさん:「初めてです」
弁護人:「この1ヶ月間、どういう気持ちで過ごしていましたか?」
Xさん:「被害者に申し訳ないです。とにかくお詫びするということで、一筆書かせていただきました」
弁護人:「まずは謝罪という気持ちですね?」
Xさん:「はい」
弁護人:「被害者との交渉は私が行っていて、ご主人は一度も会ってないですね?」
Xさん:「私は一度も会っておりません」

(略: 示談金を支払ったという確認。被害品の他に治療費や休業等の損害を与えた旨)

弁護人:「ご主人は、示談で支払った金額を奥さんに言わないでほしいとおっしゃいましたが、どういった理由からですか?」
Xさん:「とにかく被害者に謝るということから、反省の状況を考えて、伝えないほうがいいと思いました」
弁護人:「もし、奥さんに金額を伝えてしまったら、どんなマイナス面があると思いますか?」
Xさん:「金のほうに頭がいって、反省のほうに頭が回らなくなるということがあると思います」
弁護人:「反省を深めてもらいたいということですか?」
Xさん:「はい」
弁護人:「奥さんが通っていた病院は、被害者さんのお宅の近くですが、病院変えたりして、立ち入らないようにする意志はありますか?」
Xさん:「はい」
弁護人:「今後はどうやって通院しますか?」
Xさん:「私も通院していますので、一緒に行こうと思います」
弁護人:「買い物はどうしますか?」
Xさん:「週2回限定で、私がついて、散歩もコースを設定して、一緒に行きます」
弁護人:「ご主人は、ある精神科に様子を見に行ったそうですが、どういった目的でしたか?」
Xさん:「先生(弁護人)にアドバイスいただいて、いわゆるカウンセリングを実施したほうがいいだろうと。何回か重ねることで、反省点をどうするか考えるために、通わせようと思います」


 Xさんは、普段からRさんの門限を設け、監督していたようです。本件では、謝罪、示談金の支払いを、すでに済ませています。しっかりした人物だと思いました。
 Xさんは、刑事裁判の証人は初めてだと思いますが、短くハッキリと丁寧に答えており、とても上手に証言しました。ここまで上手な証人は初めて見ました。
 続いて検察官からの尋問です。

検察官:「奥さんは何回か万引きしてますけど、その度に身柄を引き受けに行ってたんですか?」
Xさん:「はい」
検察官:「万引きは平成13年が最初のようですが、ご結婚はずっと前ですか?」
Xさん:「38年になりますかねえ」
検察官:「平成13年までは万引きなかったですか?」
Xさん:「ありません」
検察官:「平成13年からの万引きはどういうものでしたか?」
Xさん:「動機は、ふわっとしたというようなことで、確認しましたけど、詳しくは聞いておりません」
検察官:「奥さんに万引きをさせないために、何かしましたか?」
Xさん:「レシートを見て、買った物と一致するかどうか、確認していました」
検察官:「奥さんは買い物に行くと必ず万引きするわけではないですよね?」
Xさん:「それは、あっちゃ困ります」
検察官:「『もうしないでくれ』と言いましたか?」
Xさん:「『最後にして』と言いました」
検察官:「前回の万引きから、しばらくやらないでいたみたいですね?」
Xさん:「交互に買い物行ったり、一緒に行ったりしてました。この時は、私が行くはずでしたが、私が疲れて寝てたもんですから」
検察官:「今後はしっかり監督していただけますか?」
Xさん:「はい。申し訳ございません」


 Xさんは、「レシートを見て、買った物と一致するかどうか、確認していました」と述べており、Rさんを金銭的に細かく管理していたことが分かります。
 門限も、午前と午後に設けており、時間についても細かく管理していたようです。

 最後に裁判官からの尋問です。

裁判官:「今までの万引きはどういうところでやってましたか?」
Xさん:「どういうとこ言うとスーパーで、1軒だけで2件、パンと野菜でした。もう一件やりかかって捕まりました。そう高いもんしたというのではなくて、果物かパンかでした。」
裁判官:「あなたのお宅は、金に困っているというわけではないよね?」
Xさん:「直接的にはあったかもしれませんが、生活の中で困るほどではなかったです」
裁判官:「そうすると、動機は分からないですよね?」
Xさん:「カウンセリング行って何とか考えてみないと」
裁判官:「心の問題だと思いますか?」
Xさん:「もしかしたら、最大の原因は、私だったかもしれません。一緒に頑張っていこうと思います」

 その後、弁護人が再び質問して、十分な示談金を支払ったという確認をしました。

 最後の、「もしかしたら、最大の原因は、私だったかもしれません」は、普通に考えると、そこまで責任を感じる必要はないような気がします。あくまでも罪を犯したのは奥さんですから。
 もしかしたら、精神科を見に行った時に、医師と話をして、何か言われたのかもしれません。もしくは、自分で本を読むなどして、何かに気づいたのかもしれません。


 続いて、被告人質問です。
 裁判官は、被告人が老齢であり、証人尋問で体調が良くない(慢性的な疾患らしい)ことが分かったためか、「座ってもらいましょうかね」と言って、Rさんをイスに座らせました。
 Rさんは、相変わらず瞳孔が開いたような、緊張した表情をしていました。

弁護人:「事件当日なんですが、どうして、買い物の帰りに脇道に入ったのですか?」
Rさん:「えっとねぇ……………………思わない……思わ思わ…思わ」
弁護人:「答えにくい?」
Rさん:「思わないで行動して申し訳ないです…」
弁護人:「スーパーからの一番近道なら、事件現場は通らないですよね?」
Rさん:「通りません。これからは気を付けます。申し訳ございません、もうしません」
弁護人:「あぁ、一つずつゆっくり答えて下さいね。ではなぜ通ったのですか?」
Rさん:「風が、風が、風が寒いからです。すいません申し訳ございません」
弁護人:「風をよけようとして細い道に入ったということですね。買い物の帰りで、食料品は買ってたんですよね?」
Rさん:「はい。悪いことしてすいません。もうしません申し訳ございません」
弁護人:「一個一個答えて下さいね。被害者には、なぜ、かみついたんですか?」
Rさん:「大声出してビックリして、かみついてすいません」
弁護人:「でもね、知らない人が入ってきて、泥棒したんだから、大声出すのは当たり前ですよね?」
Rさん:「すいません」
弁護人:「品物の他にケガさせましたけど、その他に何を与えたと思いますか?」
Rさん:「恐怖感与えてすいません」
弁護人:「被害者のお宅に絶対立ち入らないと約束してくれますか?」
Rさん:「はい。すいません考えないで申し訳ございません」
弁護人:「ご主人が一緒に散歩してくれると提案しましたが、守れますか?」
Rさん:「はい」
弁護人:「カウンセリングは受けますか?」
Rさん:「やります。自分のためになると思います」


 Rさんは、何かを答えるたびに、「すいません」を繰り返すのでした。これはちょっとおかしいです。普通の受け答えではありません。

 続いて検察官からの質問です。

検察官:「供述調書の内容は読んで聞かせてもらった?」
Rさん:「はい」
検察官:「内容に間違いない?」
Rさん:「はい」
検察官:「風をよけようとして脇道に入ったんですか?」
Rさん:「はい。すいませんもうしません」
検察官:「調書によると、『食費を浮かせようとして』と書いてあるけど?」
Rさん:「思いつきで行ってすいません。申し訳ございません」


 取り調べ段階では、「風が寒いから」横道に入ったと、言ってなかったようです。検察官は、本当に偶発的な犯行だったのかどうか、確認したかったのでしょう。

 最後に裁判官からの質問です。

裁判官:「事件から1ヵ月半経ちましたが、ずっと拘置所に入ってて、どんなことを考えましたか?」
Rさん:「時間がありましたので、色々と考え、反省してます」
裁判官:「どういうことを考えてますか?」
Rさん:「今までやったこと反省してます。考えないで行ってすいません」
裁判官:「例えばどんなこと反省してますか?」
Rさん:「宅配、被害者のこと反省してます。すいません申し訳ございません」
裁判官:「悪いことしたと思いますか?」
Rさん:「後悔しております。恐怖感与えてすいません。申し訳ございませんすいません…」


 Rさんは、「すいません」ばかりを繰り返して、具体的なことを言えませんでした。私には、反省が足りないというよりも、脳がうまく働いていない状態に見えました。

◎検察官による論告求刑はおおむね以下の通りです。
「食費を浮かすため」という自己中心的な動機に酌量の余地はない。
 犯行に気づいた被害者の手にかみつくなど犯行対応は悪質である。
 同種前歴が複数あることから窃盗の常習性が認められる。
 再犯防止のためにも厳しい刑罰が必要である。
 以上の事情を考慮して、被告人を懲役2年に処すのが相当と思慮するものである。

◎弁護人による弁論はおおむね以下の通りです。
 窃盗は、風を避けようとしてたまたま通りかかった家に、宅配の食料品が置いてあるのを発見して、とっさに盗ってしまった物である。すぐ見つかって逮捕されたことからも分かるように稚拙な犯行であった。
 傷害は、体格的に劣る被告人が、被害者に大声をあげられて、とっさにかみついてしまったものである。
 窃盗の被害品は628円で、当日還付されている。被害弁償は不要との回答を得ております。
 傷害については、被害者の精神的なショックは小さくないが、傷は完治しております。
 被告人は何としても弁償するという意志が明らかである。夫の協力によって済んでいる。
 被害者に宥恕の意志はないが、一定程度の理解は得られた。
 被告人は、当初から罪を認めて、反省している。
 勾留は1ヵ月半に及び、短期の刑を受けたも同然である。
 前歴はあるが前科はない。
 夫とは、手紙のやりとりをしており、意思疎通ができている。
 夫は監督を誓っている。被告人も監督に服すと述べている。
 一人で出歩かないことはもちろん、生活態度を見直すつもりである。
 窃盗については、カウンセリングを受け、自分と向き合う決意をしている。
 再犯の恐れはない。社会内での更生が相当である。
 執行猶予を切望するものである。


 最終陳述です。

裁判官:「最後に、裁判所に対して、何か言っておきたいことはありますか?」
Rさん:「精神不安定で、そういうことを思い付いてやって………………………、精神不安定で、そういうことを思い付いてやって…………、精神不安定で、そういうことを思い付いてやってしまったということを、申し訳ないと思っています」


 Rさんは、時々、言葉を繰り返すことがあります。最終陳述でもそうなりました。

 Rさんの特徴を挙げてみます。
・瞳孔が開いている
・怯えている
・言葉を繰り返す
・単純な受け答えしかできない
・難しい話が理解できない

 こんなところかと思います。
 私には、Rさんは、脳がうまく機能していないように思えました。こうなると、医療を受けていただくしか方法はなく、私には荷が重すぎます。素人に診断はできません。

 はっきりしたことは分かりませんが、老年期にも、認知症、うつ病、躁うつ病、せん妄、不安障害など、様々な精神疾患にかかるようです。
 また、統合失調症は、10〜30代に発病するイメージがありますが、高齢になっても発病することがあるようです。

 Rさんを見ている限りでは、脳がうまく機能していないようですので、カウンセリングよりも、薬物投与する必要があると思いました。
 もちろん、仮に脳の問題と窃盗が直接関係していたとしても、本件については反省していただかなければ困ります。

 ところで、私は、Rさんの法廷での態度を見ていると、犯行に及んだ理由が分かるような気がします。なぜなら、ずっと瞳孔が開いており、体は硬直し、「すいません」を繰り返していたことから、常に怯えていたと考えられるからです。
 たぶん、先述したとおり、脳に何らかの問題があって、ささいな刺激から不安や恐怖を感じてしまうんだと思います。彼女の不可解な行動は、この不安や恐怖から引き起こされているのではないでしょうか。

 まず、たった628円の食料品を盗んで、「今日買った物を冷凍して、これを今日の分にすれば、食費が浮く」と考えたにしては、すでに示談金を支払っているなど、さほど貧乏ではなさそうです。
 しかし、ちょっと財布が淋しいだけだったとしても、その心配を脳がうまく処理しきれず、必要以上に心配してしまい、「盗まなければ家計が破綻する」と考えたのではないでしょうか。
 この場合、家計に対する不安は、根拠のないものです。したがって、泥棒する前に、「不安に根拠がない」と気づくことで、犯行を防止することができます。なかなか難しいと思いますが…。
 薬物投与で不安を抑えられたら安心なのですが、どうなのでしょうか。


 Rさんは、被害者にかみついた理由について、「大声出してビックリして」と述べています。
 たぶん、Rさんにとって、大声を出されたことが刺激になって、大きな恐怖を感じたんだと思います。
 この場合、「相手から危害を加えられた(さらに加えられる)」と思って、自己防衛しようと、かみついたわけです。しかし、弁護人が指摘するとおり、「泥棒したんだから、大声出すのは当たり前」であることは間違いありません。
 被害者にできることは、せいぜい取り押さえて警察に引き渡すぐらいです。リンチされるわけではないのです。大人しくしていれば、警察に通報されなかったかもしれません。
 状況から考えると、相手に危害を加えるほどの必要性はなく、恐怖の根拠は薄いものでした。
 こちらも、薬物投与でどうにかなるなら、安心なのですが…。

 Rさんには、自分が破滅するかもしれないという不安、自分に危害が加えられるかもしれないという恐怖、この2つがあると思います。さらに、話を聞いたり、答えたりする力が衰えています。

 もっとも、被害者にしてみれば、そんなことは関係なくて、泥棒&かみつきのほうがよっぽど怖いです。根拠のある不安と恐怖です。その点に関しては、Rさんには十分反省してもらう必要があります。脳に問題があっても、他人に危害を加えてはいけません。しっかり治療を受けて、泥棒や暴力は抑えなければなりません。

 恐怖を感じても他人に迷惑をかけてはいけません。何とか、自分で一呼吸我慢するなどして、やり過ごす方法を見つけて下さい。

 ちなみに私は、緊張や恐怖、不安、怒りなどを感じたら、深呼吸しています。それでもダメなら、気をそらすために、アイスクリームを食べる(便意をもよおすから)か、スケベなことを考えます。
 バカバカしいですか?
 そうです、わざとバカバカしく茶化して、気をそらしています。私には一番効果あるのです。

 生きていると、悩んだり、怖くなったり、腹が立ったりします。そんな時、泣くだけならかまいませんが、他人に迷惑をかけてしまったら、最終的には自分に損害が返ってきます。何とか抑えなければなりません。
 治療は治療で受けていただいて、それでも不安や恐怖に襲われてしまったら、自分で抑えるしかありません。
 そのための方法は、一人一人違います。自分なりの方法で、他人の損害を防止し、最終的には自分を守って下さい。


◎今回分かったこと
・満員の法廷は傍聴できません(関係者は除く)。どうしても見たい裁判があったら早めに行きましょう。
・不安、恐怖には、根拠があるのかどうか、たまには立ち止まって考えてみましょう。
・他人に危害を加えそうになったら、くだらないことで気をそらすなどして、うまく抑えましょう。

参考文献:
「精神科臨床 ニューアプローチ6 老年期精神障害」(上島国利 監修、朝田隆 編集、メジカルビュー社 発行)
「喜怒哀楽の起源」(遠藤利彦 著、岩波書店 発行)

[PR]

posted by 絶坊主 at 14:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 盗んだ事件(裁判傍聴記) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/51032581
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。