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2008年01月03日

暴走保護司のビックリ言い訳「セルシオすぐ100km/h出ちゃう」

 被告人は、60代ぐらいの男性で、国道を58km/h超過で乗用車に乗って進行した、道路交通法違反の罪に問われています。

 一つ前の記事で「法廷を観察し、過去の犯罪を調べた限り、日本にモラル崩壊は起きておりません」と書きました。それを踏まえまして、逆に、「こいつはモラル崩壊だ!」と思うような事件を書いてみます。もちろん、よく行われている裁判の中からです。

 私が思うに、よく行われている裁判で、被告人が罪を認めているもの(自白事件)のうち、「道路交通法違反」では、見苦しい言い訳が多いと思います。

 公判請求されている「道路交通法違反」には、大きく分けて2種類あります。一つは、被告人が取締りに不服を持っている場合(否認事件)、もう一つは、被告人の犯した違反が極めて悪質だった場合です。今回は後者を取り上げます。


【注意事項】
 この記事は、私が裁判傍聴で必死こいて書き殴ったメモを元に、なんとか記憶を辿って書いたものです。もしかしたら、実際に裁判で起こったことと、全然違うかもしれません。
 また、私に法律の知識はありません。
 偏った思いこみや思想が文章に紛れ込んでいるかもしれません。極力避けるように努力します。ご了承下さい。
 この記事が事件の真実を言い当てることなどございません。
 無いとは思いますが、無断転載はご遠慮下さい。引用は法律を守ってご自由にどうぞ。
 リンクはご自由にどうぞ。ただし、画像等への直リンクはおやめ下さい。
 登場人物のイニシャルは本名と無関係です。

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《暴走保護司のビックリ言い訳「セルシオすぐ100km/h出ちゃう」》
【道路交通法違反】『新件』
名古屋地方裁判所一宮支部1号法廷
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★登場人物★☆
Oさん(被告人。在宅。60代ぐらいの男性。長身。エネルギッシュ)
弁護人(忘れました)
検察官(男性。詳細忘れました)
裁判官(40代ぐらいの男性。羽生善治王将風のインテリ男子)


 この裁判の一つ前、同じ法廷で、業務上過失致死の初公判が行われていました。大勢の傍聴人が集まっていました。
 交差点で、右折しようとしたトラックと、直進していたバイクが衝突し、バイクの運転手が亡くなったという交通事故です。
 驚くべきは、その被告人(トラックの運転手)、「信号が青から黄に変わってすぐ右折した」と、虚偽の供述をしていたというのです。

 ところが、遺族の意見陳述によると、「現場に行ってみると、信号から考えて、黄でバイクが突っ込むとは、素人でも疑う状況」だったといいます。その後、遺族や被害者の友人らが独自に調査して、執念で目撃者を見つけ出したとのことです。

 事故の原因は、「被告人が、青信号で右折する際に、対抗直進車の確認を怠ったから」、だったのです。

 さらに遺族は、「葬式には200人近い友人が集まってくれました。友人の1人は、『彼の人柄で集まっただけです』と言ってくれました。亡くなるまで、こんないい奴とは知らなかった」と、思い出や人柄を語りました。

 私は、被害者とは一切無関係ながら、遺族の悲しみや憤りを感じ、涙をこらえるだけで精一杯でした。突然大切な家族を失い、しかも事故の責任までなすりつけられてしまったのです。本当に理不尽です。
 心から交通事故を起こしてはいけないと思いました。私は、自転車に乗る機会があるので、交差点での一時停止、左右確認など、見直しました。


 その裁判の途中から、長身の年配男性が、法廷に入り、傍聴席に座っていました。頼もしい感じの方でした。被害者の遺族、友人らが大勢集まっていたので、その1人かと思っていました。

 裁判は、検察側が禁錮1年6月を求刑し、判決の期日を決めて終わりました。
 被害者の遺族と友人は、泣きながら法廷を後にしました。法廷前でしばらく話し合っているようでした。
 被告人とその妻は、しばらく顔を見合わせ、ばつが悪そうに外をうかがった後、遺族らの声が小さくなるのを待ってから、血の気のひいた顔で出ていきました。


 後に残ったのは、私と、頼もしそうな年配男性です。彼は、呼び出されて、柵の中へ入りました。この時になって、彼が次の事件の被告人であると、初めて気付きました。

 人定質問で、その男性、被告人のOさんが、会社経営をしていることが分かりました。
 Oさんにかけられた疑いは、スピード違反です。彼は、先ほどの不幸な事故の裁判を、被害者を偲ぶ傍聴人に囲まれて、どういう気持ちで聞いていたのでしょうか。

[起訴状朗読]
公訴事実
 被告人は、平成18年**月**日、午後11:24頃、道路標識によりその最高速度が60km/hと指定されている■■市■■■付近の国道**号線において、その最高速度を58km/h超過する118km/hの速度で、普通乗用車を運転して進行したものである。
罪名及び罰条
道路交通法違反 同法第118条第1項第2号、第22条第1項


 重要なお知らせです。罰条は間違っているかもしれません。調べ物には使わないで下さい。聞き漏らしたので後から調べました。
 罰条、公訴事実の文体は、以下を参考とさせていただきました。ありがとうございます。Q&Aとしても大変役立つ内容だと思います。

スピード違反の刑事責任(弁護士河原崎法律事務所)
http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/law2koujkesp.html


裁判官:「今読んでもらった公訴事実に何か間違ったところはありましたか?」
Oさん:「間違いありません」


 被告人は公訴事実を認めました。自白事件ですので、あっという間に進みます。冒頭陳述から気になった部分だけ記しておきます。

[被告人の前科]
速度超過による罰金8万円(略式命令)、酒気帯び運転による罰金25万円(略式命令)、業務上過失致傷(処分聞き漏らしました)


 検察官立証は省略します。速度超過を示す測定結果、それを認める供述調書でした。測定や取締りの方法は忘れました。すみません。
 弁護人は全て同意していたはずです。

[弁護人立証]
 被告人質問


 検察官の意見は「しかるべく」でした。というわけで、弁護人による、被告人質問が始まります。

弁護人:「事件当時、周囲に車や人はいましたか?」
Oさん:「現場付近は、高架になっておりまして、人の入れるような道路になっておりません」
弁護人:「国道**号線で間違いないですか?」
Oさん:「はい」
弁護人:「あなたは、今回のことで行政処分を受けてますが、どんな内容でしたか?」
Oさん:「1年間免許取り消しでした」
弁護人:「免許がなくなって、仕事で移動する必要がある場合、どうやって移動していますか?」
Oさん:「娘が乗せてくれました」
弁護人:「通勤はどうしてますか?」
Oさん:「自転車で毎日6.1km走ってます」
弁護人:「あなたのやっている会社はどんな業務ですか?」
Oさん:「(業務内容を言う)」
弁護人:「他に、■■会、■■■■■■会長など、やってましたね?」
Oさん:「はい(地元の団体で貢献しているらしい)」
弁護人:「4月から保護司をしているそうですが、今見ている少年は何人ですか?」
Oさん:「1人です」
弁護人:「あなたには前科が多いけど、略式起訴は何回ありましたか?」
Oさん:「よく分からんけど、交通裁判3回ありました」
弁護人:「公判請求は初めてですか?」
Oさん:「はい」
弁護人:「何度も交通違反繰り返してますが、あなたの家族は何と言ってますか?」
Oさん:「もう『絶対運転させない』と言われてます」


 弁護側の主張としては、現場に危険はなかった、車に乗らないから再犯の恐れは少ない、公判請求は初めて、とのことです。
 60代で、毎日6.1kmも自転車通勤するとは、元気です。これほど元気な60代を裁判で初めて見ました。いつも、「足が痛い」「死ぬか刑務所しかない」「仕事ができなくなって…」「兄からは縁を切られた」などなど、くたびれた60代ばかり見ていますから…。

 行政反則金と罰金の違い、あまり分かってないようですね。
 行政反則金は、裁判を免除してもらうために、任意で支払うお金です。裁判か、金を払って終わりにするか、選択できるわけです。金融機関で支払えば終わりです。
 一方の罰金は前科になるのです。
 Oさんには同じような手続に思えたかもしれませんが、以前のような略式裁判だろうと、今回のように公判請求されようと、罰金前科となってしまいます。この点、よく理解しておく必要があります。

 反則金と罰金の違いが分からないのは、見苦しい言い訳をしてしまう理由の一つだと思います。金さえ払えば済むと思い込んでいるのかもしれません。さらに、被害者がいないので、どのぐらい重大な犯罪か分からないのです。スピード違反は結果が目に見えない犯罪です。「運悪く捕まってしまっただけだ」と思っているのかもしれません。

 驚くべきは、Oさんが保護司をしている、という点です。保護司は、犯罪や非行をした人と定期的に会い、約束ごとを守らせ、必要な援助を行います。社会内での更生のために重要な役割を果たしているわけです。
 弁護人によると「4月から保護司をしている」とのことです。いつの4月か聞き逃したのですが、この違反の後で保護司を引き受けたのでしょうか、それとも保護司になってから違反したのでしょうか。暴走保護司が暴走族を保護観察とか…? こ、こわいです…。

 検察官も心配だったようです。反対質問で厳しく問い詰めました。

検察官:「あなたは交通ルールを守ろうという気がないんですか?」
Oさん:「そんなことないです」
検察官:「118km/hはね、高速道路でも違反ですよ!」
Oさん:「高架になっとって、広い道で、後で11時じゃないけど、夜確認に行ったら、夜はガラガラでスピード出しやすいんです。セルシオ乗っとって100km/hすぐ出ちゃうもんで」
検察官:「スピード出るのはアクセル踏むからでしょ?」
Oさん:「出しやすいタイプの車なもんで」
検察官:「そうやって言い訳してると、反省してない、と思われるよ」
Oさん:「はい。申し訳ありません」
検察官:「あなたは保護司やってるそうだけど、交通違反の保護観察回ってくるかもしれないでしょ? どうやって指導するの? 保護司やめる気はあるの?」
Oさん:「役所には在宅起訴されたことを届け出ました」
検察官:「判決出たらまた続けるんですか?」
Oさん:「『裁判の結果出たら教えて下さい』と言われてます」


 Oさんは見苦しい言い訳を繰り返すのでした。もともと口数が多いのか、ことの重大さが分かっていないのか…。彼の指導監督を受けた少年が、言い訳ばかりを学んでいないか、心配でなりません。
 セルシオって、乗ったことはもちろん、乗せてもらったことすらありません。そんなに加速する車なのでしょうか?
 さきほどの裁判を見ていれば、交通死亡事故がどれほど不幸な結果をもたらすか、下手な言い訳がどれほど自分を不利にするか、よく分かったと思うのだけど…。聞いてなかったのでしょうか。
 Oさんの言動が不思議でなりませんでした。


裁判官:「いわゆるダブルスピード、出しやすい車だから出た、なんてものじゃないと思うんですが…。少年に対しても、交通違反の事件だと、『仕方ないね』って、指導しちゃうんじゃないですか?」
Oさん:「少年に対しては、あくまでも相談にのるだけですから」
裁判官:「交通関係で問題起きてる少年も多いと思うんだけど…。また今度あったら、刑務所に行くような問題だと分かってますか?」
Oさん:「はい」


 裁判官は、「セルシオ乗っとって100km/hすぐ出ちゃう」という言い分は、認めてないようです。最後に、執行猶予は今回限りだと念を押して、質問を終えました。

◎検察官による論告求刑はおおむね以下の通りです。
 制限速度の倍近い118km/hで走行した。危険性が高い。緊急性はなかった。
 罰金前科ほか、前科多数ある。交通法規を守る意識が欠如している。
 そこで求刑ですが、相当法条を適用し、被告人を、懲役5月に処するのが相当であると思慮するものであります。

◎弁護人による弁論はおおむね以下の通りです。
 片側2車線の道路で、深夜であり、他に通行するものはなかった。本人だけが危険であった。
 被告人に交通違反多いが、事故はないと慢心していた。重い行政処分によって1年間の免許取り消しになり、割に合わないと実感するようになっていた。
 仕事の移動は専属の運転手をつけている。
 これまでの交通違反は、略式起訴と反則金の区別がついていなかった。今回初めて、公判請求となり、おおごとであると気付いた。
 仕事や社会に対する貢献のためにも、社会内での更生がふさわしい。

裁判官:「最後に、裁判所に対して、何か言っておきたいことはありますか?」
Oさん:「別にありません」


 判決は、5分程度休廷した後、すぐ言い渡されることになりました。

 裁判官が戻ってくるまでのあいだ、「セルシオ乗っとって100km/hすぐ出ちゃう」という言い分が本当かどうか、簡単な検証を行います。

 事件は、平成18年ですから、OさんのセルシオはLS430(平成12年〜平成18年)だと仮定します。残念ながら、toyota.jpから、セルシオの項目がなくなっており、メーカー発表の数値を調べることはできませんでした。あきらめて二次情報に頼ります。私は、自動車のことがさっぱり分かりませんので、どれが正しいのか判断つきません。だいたいの目安だとお考え下さい。
 ついでに、他の車についても、2006年によく売れたものを中心に、調べてみます。

新車試乗記 第144回 トヨタ セルシオ Toyota Celsior(MOTOR DAYS)
http://www.motordays.com/newcar/articles/celsior20001020/
新車乗用車販売台数ランキング 2006年(社団法人 自動車販売協会連合会)
http://www.jada.or.jp/contents/data/ranking/2006.php
バイク&車の0-100km/h加速動画 まとめサイト
http://user.wazamono.jp/kasokusure/
Honda F1 Machine Catalog(HONDA)
http://www.honda.co.jp/F1/spcontents2006/f1catalogue/03/

 0-60マイル加速は、1マイル=1.609344kmとして時速に換算すると、0-96.56km/h加速になります。つまり、「0km/h(停止状態)から加速を続けて96.56km/hに達するまでの時間」、ということになります。こちらには(※)をつけておきます。
 その他は、0-100km/h加速、つまり、「0km/hから加速を続けて100km/hに達するまでの時間」、です。

【自動車の0-100km/h(※0-96.56km/h)加速】
3.7秒 ホンダRA106(F1マシン)
5.2秒 NSX
6.3秒 セルシオLS430(※)
6.5秒 ベンツS500(※)
9.7秒 ウィッシュ
9.8秒 カローラフィールダー
9.9秒 エスティマ
10.7秒 ティーダ
11.4秒 ステップワゴン
11.8秒 ヴィッツ
12.5秒 マーチ
12.8秒 フィット
27.2秒 ミラ

 セルシオは、0-96.56km/h加速であることを考慮しても、6.3秒と、ずば抜けた数字だと思います。単純計算すると、0-100km/hでは、約6.5秒になります(1.03倍)。
 よく売れている乗用車では9秒台が限界です。6秒台は高級車の世界なのでしょう。ギャグのつもりで入れたF1マシンと比べても、半分以上の加速をしています。なんという速さ!

 Oさんの言っていた、「セルシオ乗っとって100km/hすぐ出ちゃう」というのは、まったくのデタラメではありませんでした。
 ということは、セルシオの加速性能の良さが考慮されて、刑が軽くなる…?

 裁判官が戻ってきました。

【判決言い渡し】

主文 被告人を、懲役6月に処す。ただし、その刑の執行を、2年間猶予する。
 訴訟費用は被告人に負担してもらいます。

 裁判所が認めた罪となるべき事実は、起訴状記載の公訴事実の通りです。

 一般道で2倍の速度で進行することは大変に危険である。
 被告人は、速度超過、酒気帯び運転などの前科があり、道路交通法軽視の傾向が見られる。
 他方で、速度超過を反省しており、免許は1年間の取消処分となっている。
 被告人が反省しているので、今回に限っては執行猶予が相当だと判断しました。

 こんなことで裁判受けているというのは、記録に残っているので、無免許で運転することのないように。
 もし、免許を再度取得しても、交通法規を守って、安全に運転するよう、裁判所としては強く希望します。
(判決言い渡し終了)


 判決は、求刑の懲役5月を超えて、懲役6月でした。2年間の執行猶予が付きました。とりあえず今日のところは家に帰れます。
 やはり、セルシオ減軽は、認められないようです。
 Oさん、もし再び免許を取ったら、ミラをおすすめします。100km/hに達するまで27.2秒かかります。これなら安心です。アクセルを踏む前に、あの不幸な事故の遺族や、血の気のひいた加害者の顔を思い出して下さい。

 高速走行時の事故が危険であることは、今さら私が言うまでもありません。そんなことはみんな分かっています。高速走行時の事故は減少傾向にあるようです。


 さて、Oさんは保護司をしていると述べました。保護司は具体的に何をするのでしょうか。

(指導監督の方法)
第三十五条  保護観察において行う指導監督は、左に掲げる方法による。
一  保護観察に付されている者と適当に接触を保ち、つねにその行状を見守ること。
二  保護観察に付されている者に対し、前条第二項に規定する事項を遵守させるため、必要且つ適切と認められる指示を与えること。
三  その他本人が社会の順良な一員となるように必要な措置を採ること。

(補導援護の方法)
第三十六条  保護観察において行う補導援護は、左に掲げる方法による。
一  教養訓練の手段を助けること。
二  医療及び保養を得ることを助けること。
三  宿所を得ることを助けること。
四  職業を補導し、就職を助けること。
五  環境を改善し、調整すること。
六  更生を遂げるため適切と思われる所への帰住を助けること。
七  社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。
八  その他本人の更生を完成させるために必要な措置を採ること。
2  前項第五号の措置は、本人の家族に対しては、その承諾がなければ、行つてはならない。

犯罪者予防更生法(昭和二十四年五月三十一日法律第百四十二号)

 色々ありますね。大変です。「定期的に会い、叱りながら、さりげなく助ける」、というような感じでしょうか?

 35条2項に《前条第二項に規定する事項》とあります。34条第2項はこちらです。
一  一定の住居に居住し、正業に従事すること。
二  善行を保持すること。
三  犯罪性のある者又は素行不良の者と交際しないこと。

 そもそも保護司が《犯罪性のある者》だった場合、保護観察を受ける少年は、保護司に会っているだけなのに、遵守事項を破っていることになってしまいます。あらら、困っちゃう…。

 したがって、犯罪性のある者を保護司に選んではいけない、ということになるはずです。

 どうやって保護司を選んでいるのか調べたところ、「保護司法」なる法律にたどり着きました。
(推薦及び委嘱)
第三条  保護司は、左の各号に掲げるすべての条件を具備する者のうちから、法務大臣が、委嘱する。
一  人格及び行動について、社会的信望を有すること。
二  職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。
三  生活が安定していること。
四  健康で活動力を有すること。
2  法務大臣は、前項の委嘱を、地方更生保護委員会の委員長に委任することができる。
3  前二項の委嘱は、保護観察所の長が推薦した者のうちから行うものとする。
4  保護観察所の長は、前項の推薦をしようとするときは、あらかじめ、保護司選考会の意見を聴かなければならない。

(欠格条項)
第四条  次の各号のいずれかに該当する者は、保護司になることができない。
一  成年被後見人又は被保佐人
二  禁錮以上の刑に処せられた者
三  日本国憲法の施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

保護司法(昭和二十五年五月二十五日法律第二百四号)

 第3条第1項から見ていくと、Oさんの場合、一は経営者であり地元への貢献もしているそうなのでOK、二は不明、三はセルシオ買うぐらいだから裕福、四は6.1km自転車通勤できるから十分健康と、おおむねふさわしいように思います。

 どうやら、裕福で、健康で、みんなから尊敬されている人が、保護司になれるようです。これだけでは、《犯罪性のある者》であっても、表向き立派な暮らしをしていれば、保護司になってしまいます。

 たぶん、《犯罪性のある者》を保護司にしないために、欠格事項が歯止めになっているんだと思います。第4条で、《禁錮以上の刑に処せられた者》は、保護司になれないと定められています。

 Oさんは、執行猶予が付きましたので、《禁錮以上の刑に処せられた者》には該当しません。今後も保護司を続けられます。あくまでも、法的には、ですが。
 付け加えますと、執行猶予の2年間のうちに一度でも犯罪をしたら、刑務所行きとなります。略式罰金刑でも取り消される可能性があります。刑務所行きとなったら、《禁錮以上の刑に処せられた者》となり、もちろん保護司はできなくなります。

 個人的には、言い訳があまりにも見苦しいので、本当に指導監督できるのかどうか、心配でなりません。親分肌で、自分で物事を決めていくのは得意なんでしょうけど、世間の規範への適応が必要な人に対して、適切な指導ができるのでしょうか。

 考えようによっては、前科4犯の保護司というのは、非行少年が心を開きやすいかもしれません。「私も前科いっぱいあってねー。キミと同じスピード違反なんだよ。執行猶予中の身で、まいっちゃったなー」という感じで話したら、少年が「オレの気持ち、分かってもらえるかも」って思ったりして…。

 保護司のイメージが悪くならないように、良い話を記しておきます。
 以前、愛知県図書館で読んだ、「豊田市更生保護記念誌 そえぎ四十年の歩み」(豊田市保護司会、豊田更生保護婦人会)には、保護司による手記が掲載されていました。
 寒い中いくら待っても対象者は現れず、よく分からない理由で憎まれ、手を尽くしても何度も期待を裏切られる…。
 それでも保護司は助力を惜しまないというのです。何の見返りもないというのに。本当に頭が下がります。

◎今回分かったこと
・行政反則金は、裁判をしなくて済むように、任意で支払うお金です。
・罰金は、略式だろうが公判請求だろうが、前科になります。
・交通違反常習者でも保護司に選任されることがあります。
・ただし、禁錮以上の刑に処せられた者は、保護司になれません。
・セルシオは、確かに、「すぐ100km/h出ちゃ」います。お気をつけ下さい。
・加速性能の良い乗用車であっても、スピード違反の有利な事情にはなりません。
・保護司は、何の見返りもないのに、犯罪や非行をした人の更生に、力を貸しています。なんて立派なんだろう!


 保護観察については過去の記事で扱いました。興味をお持ちの方は、長文ですみませんが、参照して下さい。
仮釈放中の保護観察についてはこちら
http://chisai.seesaa.net/article/66668222.html
保護観察付き執行猶予判決についてはこちら
http://chisai.seesaa.net/article/49511583.html

 なお、多くの保護観察対象者は、少年です。ほとんどは家庭裁判所の決定によって保護観察を付されています(1号観察)。少年院を仮退院した者は、2号観察と呼ばれ、最低でも20歳まで保護観察に付されます。

参考文献:
「更生保護便覧'04」(法務省保護局 編集、更生保護法人 日本更生保護協会 発行)
「豊田市更生保護記念誌 そえぎ四十年の歩み」(豊田市保護司会、豊田更生保護婦人会)
弁護士河原崎法律事務所
http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/index.html
トヨタ・セルシオ(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%AA
MOTOR DAYS
http://www.motordays.com/
社団法人 日本自動車販売協会連合会
http://www.jada.or.jp/
交通違反の基礎知識
http://rules.rjq.jp/
今井亮一の交通違反相談センター
http://www008.upp.so-net.ne.jp/ko-tu-ihan/
平成18年中の交通事故の発生状況(警察庁交通局)
http://www.npa.go.jp/toukei/koutuu44/H18.All.pdf
http://www.npa.go.jp/
posted by 絶坊主 at 18:43| Comment(2) | TrackBack(1) | 交通の事件(裁判傍聴記) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フェラーリで同じ言い訳してた被告人を観たことがあります。97キロオーバーだったかな。
Posted by みそしる at 2008年02月09日 10:19
それはフェラーリでなければ出せないスピードかも。すごい事件を目撃されましたね。
気持ちは分かるんですけどね。さすがに裁判所が認めるわけにはいかないでしょう。
本件の被告人は専属の運転手をつけると言っているので再犯はなさそうです。さすがブルジョワジー!
Posted by 絶坊主 at 2008年02月09日 16:38
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叔父が交通事故に遭いました
Excerpt: 現場は自宅のすぐ近くで、交通が閑散な地域です。そこを散歩中に軽トラックに撥ねられ
Weblog: 論理的な独り言
Tracked: 2008-07-20 17:03
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