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2008年01月31日

おっぱっぴー! 裁判員制度

 今回は、近づく裁判員制度を安心して迎えられるように、傍聴マニアの視点からQ&Aを書いてみました。
 これさえ読めば、裁判員制度への不安は解消し、「おっぱっぴー!」と叫ぶ余裕すら生まれるでしょう。

【内容】
Q1.裁判員の意見は聞き入れてもらえる?
Q2.量刑をどのように判断したらよいのでしょうか?
Q3.量刑がおかしいとバッシングされないために工夫できることは?
Q4.「私のせいで冤罪になったら」と考えると気が重いのですが?
Q5.裁判は本当に3日で終わるのか?



基本的な疑問は、最高裁判所による、裁判員制度ホームページへどうぞ。
裁判員制度の紹介
http://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/index.html
裁判員制度Q&A
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/index.html
広報ビデオ
http://www.saibanin.courts.go.jp/news/video.html
広報誌など
http://www.saibanin.courts.go.jp/news/magazine.html

 以下、傍聴マニアである私の個人的見解です。というか有害情報です。こどもはここをよんじゃだめ!
 上戸彩さんが表紙のパンフレットには《くわしくは、最寄りの地方裁判所まで、おたずねください》と書かれています。正確な情報が知りたい方はそのようにお願いします。

 それから、参考までに、私が以前に書いた、裁判員制度に関する記事です。
裁判員制度を知ろう 広報行事とネットの活用
http://chisai.seesaa.net/article/68916080.html

 では、「おっぱっぴー! 裁判員制度」、はじまりはじまりー。

Q1.裁判員の意見は聞き入れてもらえる?
 私はテレビを見て「判決甘すぎる!」ってよく思います。でも、裁判員になったら、裁判官と話し合って刑を決めるって聞きました。法律に詳しい裁判官から難しい話をされたら何も言えなくなってしまいそうです。
 私、普段はクールに装ってるんですけど、すっごい恥ずかしがり屋なんです。こんな私でも裁判員になったら話し合いで意見を言えますか?
〔Aさん・29歳・女性・愛知県岡崎市〕

A.聞き入れてもらえますが、その理由を求められるでしょう。

 まずは最高裁判所の見解をご覧下さい。

○ 裁判官の意見に誘導されるおそれはないのでしょうか。
 http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c4_13.html

 私の予想では、企業などで採用されているブレインストーミングのような感じで、ユニークな意見こそが重宝されると思います。裁判員には法律家が気付かない一般人としての視点が求められているからです。
 したがって、Aさんが何か意見を言ったことによって、裁判官があざ笑う可能性は低いと考えられます。

 ぶっちゃけた話、裁判員制度の目的(の一つ)は、「あんなヒドイ犯人なんか死刑!」という世論を取り入れて、量刑相場を超えた重刑を言い渡すことだと思っています。

 これは、裁判官が量刑において事案の個別性を重視せず、例えば初犯であるとか被害者の人数とかの形式的な基準に頼りすぎており、また検察官もこの相場を前提にした求刑、控訴等の判断を行っているという批判です。仮にこのような傾向が事実あるのだとしたら、そもそも量刑は刑法で明示されている幅のなかでの判断なのですから、事案に則し、国民感情と被害者感情をも踏まえた厳罰の適用をためらうべきではないと考えます。また、こうした「相場主義」に関しても、上記のような意味での重刑の選択肢不足も一つの要因になっているのではないでしょうか。

《国民の期待に応える刑事司法のあり方について(骨子)》平成12年7月11日・司法制度改革審議会 委員 山本勝
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/dai25/25bessi2.html

 裁判員制度で判決に国民感情が反映される見込みです。Aさん、これからは「判決甘すぎる!」なんて、思わなくなりますよ。よかったですね。

 ただし、自分が言った意見について、なぜそのように思うのか、理由を求められるはずです。裁判長は必ず訊いてくると思います。そのとき、説得力ある根拠を示すことができれば、裁判官ならずとも、その場の全員が重要な意見だと思うでしょう。
「被告人は犯行時、被害者の子どもにも、暴言を吐いている。許せない!」というような、極めて主観的な理由でもかまわないと思います(この例が良いか悪いかは別として)。
「何となく死刑」では相手にされなくても仕方ありません。

 ところでAさん、クールを装った恥ずかしがり屋さんとは、なんてかわいらしいんでしょう!
 そうそう、メールのお返事が英語でしたけど、読めなくて困っています。頭悪くてごめんなさいね。

“Delivery Status Notification (Failure)”
This is an automatically generated Delivery Status Notification
Delivery to the following recipient failed permanently

 日本語でお返事いただけませんか? お待ちしております。今度お食事に行きましょうね。



Q2.量刑をどのように判断したらよいのでしょうか?
 貴ブログの記事でもそうですが、同じような事件でも、違う判決がでることがあります。なぜそのような差が出るのでしょうか?
 私が裁判員になったらどうやって差をつければいいのでしょうか?
〔Bさん・46歳・男性・宮崎県〕

A.論告、弁論、判例を、あくまでも参考として、自分の考える刑を述べて下さい。

 まずはこちらをご覧下さい。

● 刑の内容を決めるにあたって何か基準は示されるのですか。
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c4_18.html

 上記Q&Aを簡単に説明いたします。
 証人尋問や被告人質問が終わったら、

検察官が自らの主張をまとめた「論告」を、
弁護人が自らの主張をまとめた「弁論」を、

それぞれ行います。
 検察官は「求刑」として、「被告人にはこのぐらいの刑がふさわしいんじゃないかな〜?」という意見を言います。弁護人も同じようなことを言うかもしれません。

 それと、必要があれば、裁判所から、似たような事件の資料を見せてもらえるようです。それよりもヒドイと思えば重く、被告人に同情するなら軽くしたらいいと思います。

 ただ、Q1で引用しましたとおり、それこそが「量刑相場」ですから、あくまでも参考にとどめたほうが良いでしょう。人の言うことや前例にならうだけなら、Bさんが参加する意味ないですからね。

 ところで、今話題の宮崎県にお住まいなのですね。一度でいいから高千穂峡に行ってみたいです。先日は県庁が大変でしたね。たけし軍団出身の方でも全裸にお怒りになるのだと新鮮な驚きを持ちました。
 お便りありがとうございました。宮崎県の益々の発展をお祈りしております。



Q3.量刑がおかしいとバッシングされないために工夫できることは?
 先日、ある交通事故の判決が、大きな非難を浴びました。裁判所はまことにけしからんが、もし自分が裁判員をしていたらと思うと、そら恐ろしくなった。自分の参加した裁判が批判されないために評議で工夫できることはありますか?
〔Cさん・54歳・男性・愛知県名古屋市〕

A.ありません。ただし反論は可能です。

 まず、裁判員であったことは、おおやけにはなりません。バッシングには知らんぷりすることができます。
 また、評議において、Cさん一人が厳罰を主張しても、他の裁判員や裁判官に同意されるとは限りません。人間同士の話し合いですから工夫できることは少ないと思います。
 裁判員だった方は、自らが関わった判決についてバッシングされても、表立って反論しないほうが良いと思います。
 ただし、身近な人には裁判員であったことがバレる場合もあります。例えば、休暇をお願いした上司や雇用主から、判決が甘すぎるという苦情を受けるかもしれません。そのような苦情を裁判員に言うのは常識はずれだと思いますが、世の中には常識はずれな人もいます。

 ご安心下さい。裁判官と裁判員は、あくまでも出された証拠だけを見て判断します。したがって、検察側か弁護側の出した証拠が不十分であった場合、偏った判決となってしまうのは当たり前です。

 例の事故、大変痛ましいものでした。3人もの尊い命が奪われたというのに、危険運転致死傷罪を適用せずに懲役7年6月ですから、刑が軽すぎるという批判は当然です。

 ただ、裁判所の判断がおかしかったという批判は、必ずしも正しいとは言えません。

 交通ジャーナリストの今井亮一さんによると、アルコール検査値0.5mgが、酒酔い運転検挙の境界線であるようです。

「酒気帯びではなく、酒酔いで検挙するには、酔いの立証もさることながら、やはり検査値も大事になってくる。0.5ミリグラム以上でないと、酒酔いでは取らない。原則そういう運用だ」
 という話を、ある元警察官氏から聞いたことがある。
 福岡の事件が、もしも0.5ミリグラム以上だったら、裁判官は危険運転のほうを適用していたんじゃないか。

《福岡の事件 もしも検査値が0.5mgだったら》今井亮一の交通違反バカ一代
http://ko-tu-ihan.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_62dd.html

 私は判決当日に見つけた記事を思い出しました。
 しかし、被告は検知直前に0.5〜1リットルの水を飲んでおり、検知を行った警察官は法廷で、被告が1回の呼吸で膨らませるべき風船を2回吹いたことや、酒酔いと酒気帯びを区別する歩行テストを怠ったことなどを証言。

《検知ミスで争点複雑化 訴因変更、異例の展開 福岡3児死亡事故》msn産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080108/dst0801081156015-n1.htm

 そもそも、0.25mgという検査値は、ずさんな検査で測定されたものだったのです。しかも、歩行テストを行っていませんでした。

 今となっては、本当に0.25mgで酒気帯び状態だったのか、正しく検査すれば0.5mg以上で酒酔い運転となっていたのか、判断する手段がありません(あるのかもしれませんが少なくとも検察は行っていません)。
 これは警察のミスです。強引に危険運転致死傷罪で起訴した検察のミスとも言えます(気の毒ですが)。

 ちょっと想像をふくらませてみます。
 アルコール検査は事故後48分後に行われています。警察署から現場までは、Yahoo!地図で見るかぎり、時速40km/hなら10分程度で到着するように見えます(6.29kmとして算出)。
 事故〜通報〜出発の時間が分からないので何とも言えませんが、移動時間を差し引いた38分は、問題ない時間なのでしょうか? 初動捜査が消極的であった可能性はないのでしょうか?
 もちろん警察は、現場から離れていた被疑者を、ずっと探していた可能性はあると思います。いつもこのぐらい時間がかかるのかもしれませんし。
 私は、現場のことも警察のことも分からないので、想像の域を出ませんが…。

 話を戻します。
 私は、警察官がずさんなアルコール検査を行った理由は、公務員は禁錮以上の刑でクビになるため、同情したからではないかと想像しています。
 ↓情報元は日刊ゲンダイとのことですが、私は未確認です。

《「交通事故起訴率官民格差4倍〜民間人はアウトでも役人はセーフ」日刊ゲンダイ》 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/4350c592279cd9d6351536c5f96b3685

 つまり、この事件において危険運転致死傷罪が適用されなかった原因は、

警察官が地方公務員の被疑者に同情し、「禁錮以上の刑になって解雇されたらかわいそう」と考え、正確なアルコール検査を怠ってしまったから、

であり、裁判所が悪いわけではないと反論できます。

 反論は、公判で見聞きしたこと(一般の傍聴人にも分かること)や報道されていることだけで、話を組み立てて下さい。もし、裁判員でなければ知らないような情報について話してしまうと、最大で「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律 第百八条)に処されます。
第百八条 裁判員又は補充裁判員が、評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

2 裁判員又は補充裁判員の職にあった者が次の各号のいずれかに該当するときも、前項と同様とする。
一 職務上知り得た秘密評議の秘密を除くを漏らしたとき
二 評議の秘密のうち構成裁判官及び裁判員が行う評議又は構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたもののそれぞれの裁判官若しくは裁判員の意見又はその多少の
数を漏らしたとき。
三 財産上の利益その他の利益を得る目的で、評議の秘密(前号に規定するものを除く)を漏らしたとき。

3 前項第三号の場合を除き、裁判員又は補充裁判員の職にあった者が、評議の秘密(同項第二号に規定するものを除く)を漏らしたときは、五十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の規定の適用については、区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の職にあった者で第八十四条の規定によりその任務が終了したものは、併合事件裁判がされるまでの間は、なお裁判員又は補充裁判員であるものとみなす。
5 裁判員又は補充裁判員が、構成裁判官又は現にその被告事件の審判に係る職務を行う他の裁判員若しくは補充裁判員以外の者に対し、当該被告事件において認定すべきであると考える事実若しくは量定すべきであると考える刑を述べたとき、又は当該被告事件において裁判所により認定されると考える事実若しくは量定されると考える刑を述べたときも、第一項と同様とする。

《裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)》
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/pdf/02.pdf

 個人的な意見を言わせてもらえば、いくら刑が軽いからといっても、被告人には損害賠償があると思います。3人の幼い命であることを考えると3億円以上かもしれません。
 25年後といえば40代なかばです。それから損害賠償を始めるにしても、まともに就職できないかもしれません。
 7年6か月の懲役と30代からの損害賠償というのも、一つの償いかなあとも思います。払えるのであれば。

 それにしてもCさん、交通事故といえば、どうして名古屋の自転車って、よく信号無視するんでしょうか? 車が少しでも途切れると信号無視します。Cさんが子どもの頃からこんな感じだったんですか?

《自転車の安全利用の促進に関する提言》(平成1 8 年1 1 月 自転車対策検討懇談会)によりますと、平成17年中の《自転車対車両の事故で自転車運転者が死亡した事故》事故要因の第2位に、《信号無視をした》が71件(9.2%)あります。事故の場所はほとんど交差点です。
 ちなみに事故要因の第1位は、《交通閑散等に気を許して安全確認をしなかった》323件(42.0%)です。

 交通閑散等に気を許して信号無視って、なかなかの命知らずです。手堅い印象のある名古屋人は意外にスリル大好きなのでは?
 名古屋人の意外な一面を、このブログを通じて、全国に発信できました。嬉しいです。
 また何かありましたらお便り下さいませ。



Q4.「私のせいで冤罪になったら」と考えると気が重いのですが?
 脅迫的な取り調べ。判検交流で裁判所は検察のお飾り。冤罪の社会問題は激化の一途。
 江戸川署に連行されてから腹の立つことばかりだった。年配の痩せた青白い顔の刑事は日本語が不自由で私の話が理解できないという。なんじゃそれ。天下の警察官が会話不能という堕落。
 検察庁へ移される。本当によくできた人間はすぐ分かる。何もかも言いたいことは話した。暖かい言葉に感動する。
 何度かのたらい回しの後、突然裁判だという。何を言うか。こちらの話もきかずに罰金20万円という不当判決。検察で自白したと判決理由。
 何もやっておりません!
 もう遅い。全部仕組まれていた。弟に頭を下げて罰金を支払う。忘れもしない平成13年6月12日。
 そこで問われる。警察、検察、裁判所は、一体となって脅しをかけ、何が何でも有罪を迫る。不幸な者は出る。我らは脅しに屈せず正義を貫けるのか?
〔Dさん・年齢不詳・女性・東京都〕

A.控訴審で職業裁判官が改めて判断します。冤罪だと思ったら被告人質問で控訴をすすめてはいかがでしょうか。

 ていねいなメールありがとうございます。私のような若輩者では、細かい事例に対応することができませんので、表題のように単純化させていただきました。ご理解下さい。

 冤罪の実態というのは、犯罪の実態と同じく、把握が難しいと考えられます。「あきらめて罰金を払おう」「執行猶予ついたからあきらめよう」などと、本人が黙ってしまえば表面化しません。ただし、公開の法廷で裁かれたのであれば、誰かがおかしいと気付く可能性があります。正確な冤罪率は無理でも、「どうやら冤罪らしい率」なら計算できるかもしれません。

 Dさんの事件は、おそらく略式裁判だろうと思います。たしか、百万円以下の罰金や科料なら、本人の同意があれば、略式で処理しても良いことになっています。
 こちらの冤罪率(どうやら冤罪らしい率)算出は不可能だと思います。非公開ですから。(本人にとって)低額の罰金なら何も考えずに支払ってしまう人もいるでしょう。この場合、冤罪だったとしても、本人すら気付いていないことになります。

 ここまで、冤罪の実態が把握しづらい、というお話を申し上げました。
 では、どれだけあるのか分からない冤罪が、運悪くDさんが裁判員として参加する裁判に回ってきたら、どうすればいいのでしょうか?

 まず大切なことは一所懸命に事実認定をすることです。Dさんは今までの人生で様々な判断をしてきたと思います。何が真実で何が間違っているのか。Dさんの経験をもとに、出された証拠を見て、慎重に判断して下さい。検察官の立証が不十分だと感じたら、推定無罪の原則に従って、無罪という決断をしてください。

 それでも間違ってしまうことがあるでしょう。しかし心配には及びません。

 なぜなら、控訴審(高等裁判所)と上告審(最高裁判所)があるからです。

 裁判員制度は地方裁判所で行われる重大な刑事事件のみが対象です。控訴されれば、職業裁判官によって、もう一度審理が行われます。高裁が、Dさんたちの判決に疑問を感じれば、一審判決を破棄することもあります。

 つまり、一審に裁判員を入れても、控訴審では今まで通り職業裁判官によって、出された証拠や判例をもとに判断されるわけです。
 ただし、原判決破棄の場合、高裁が独自に判決を下す必要があります。そうしないと、再び裁判員が招集されることになるか、新たに招集された裁判員が途中から審理に参加することになってしまいます。

「なあんだ、裁判員制度の意味がないじゃないか」と思われるかもしれませんが、国民が入ることによって「国民のみなさんと一緒に出した判決」が生まれ、判決への不満が減る効果が見込まれます。裁判員が参加して行われた裁判の場合、国民による判決に対する不満は、そのまま国民に跳ね返ってきます。
 これこそ、最高裁ホームページにうたわれている、裁判員制度の目的である《司法に対する国民のみなさんの信頼の向上》の達成です。

《導入の理由》裁判員制度
http://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/reason.html

 控訴さえされれば、もうDさんの責任ではありません。もちろん、Dさんたちの判決を高裁が支持することもありますが、それは高裁の責任です。一般人のDさんが深く思い詰める必要はありません。安心してください。

 もし、どうしても冤罪だと思うのに有罪判決を下さなければならない場合、あらかじめ被告人に控訴をすすめておくというのはいかがでしょうか?
 裁判員は、裁判長に申し出れば、被告人質問ができます。裁判員が被告人に何かを言えるチャンスはここだけです。ただ、簡潔な一問一答が求められますので、自分の意見を言うことは難しいと思います。さりげなく言えるように工夫して下さい。
 一度結審してしまったら、一人の裁判員の意見で審理に戻ることは、極めて難しいと思います。結審後に冤罪の可能性に気付いたら控訴されるように祈るしかありません。

 裁判員の参加する裁判の判決で確定するわけではありません。高等裁判所で職業裁判官によって再び審理されることを覚えておいてください。
 どうか気を楽に持ってください。

 では、高等裁判所に裁判員を入れるという話にはならないのでしょうか?
 それはあり得ないと思います。まず、国民の負担が大き過ぎます。

 それから、高等裁判所に裁判員を入れるとなると、いつか「最高裁判所にも裁判員を入れよう」という話が出てきます。

 実は、最高裁判所判事には、すでに一般人からの登用があります。

最高裁判所の裁判官
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/index.html
最高裁判所 現役裁判官15名 基礎データ
http://homepage2.nifty.com/misoshiru/mg/judgedata.htm

 経歴を見て下さい。元社会保険庁長官、元内閣法制局長官、大学名誉教授の法学者…。
 あなたの経歴と比べて下さい。あなたは最高裁判所の敷居をまたげそうですか?

 何をおっしゃいますやら。ちょっとよろしくって?
 中国人研修生を休みなしで働かせている社長さんですとか、その社長の下で働いてジリ貧の生活しているパートさんですとか、高い家を買ってローンに苦しむサラリーマンですとか、ましてや金にもならないのにブログで長文書いてる大バカ者なんて、崇高なる最高裁判所にふさわしくなくってよ。オホホホホホホ…笑いが止まらないわ。

 そうそうDさん、略式命令を受けた日を含めて14日以内なら、正式裁判の請求ができます。つまり、簡易裁判所の公開の法廷で、不服を主張できます。被告人に説明する決まりになっているのですが、そういう話ありませんでしたか?
 平成13年では7年ほど遅いですね…。とても残念です。次の機会がありましたら正式裁判を請求してください。



Q5.裁判は本当に3日で終わるのか?
 先日の新聞広告では裁判が3日で終わると書かれていました。しかし、一部の裁判は長引くと思います。ニュースで見ましたが、弁護人が証人尋問を引き延ばしたり、証人が出廷しないこともあるそうですね。3日で終わるというのはウソではないですか?
〔Eさん・19歳・男性・北海道〕

A.終わらないこともあります。出頭しない証人に罰金を科して見せしめにすれば、少しは改善されるでしょう。

 まず、否認事件(被告人が公訴事実を「私はやってない」と認めていない場合)では、裁判が長引きます。争うことが多くなりますからね。
 自白事件(被告人が公訴事実を「間違いありません」と認めている場合)なら情状酌量だけ争われます。これならあっというまに判決となります。

 パンフレットをご覧ください。
《裁判員選任手続パンフレットを更新しました。》裁判員制度
http://www.saibanin.courts.go.jp/news/senninpamphlet.html

 上戸彩さんが表紙のパンフレットのうち、こちらのページをご覧ください。
《「裁判員裁判の日数等」のページ》
http://www.saibanin.courts.go.jp/news/pdf/senninpamphlet02.pdf

《裁判にかかる日数、3日以内が約7割。》と、大きく書かれています。
 円グラフの下には、《5日超の事件については、1週間に開廷する日数を3日程度とするなど、皆さんの負担ができるだけ小さくなるよう検討しています》と、頼もしいことが書かれています。
 最高裁の言い分は以上です。

 では、Eさんご指摘の件について考えてみます。

 まず、弁護人による証人尋問の引きのばし戦術ですが、裁判長の訴訟指揮に委ねるしかないと思います。そんなものに裁判員が振り回されるのはごめんこうむりたいものです。公判前整理手続でどうにか決着をつけておいてもらいたいです。
 裁判員制度以前の問題だと思います。弁護士の皆様は被告人が有利になるような戦術をしてください。ズバッと鋭い質問を短時間で繰り出せば、一般の国民はだまされ…、いやいや今のは撤回、一般の国民に分かりやすいかと思います。

 裁判員が参加する裁判では証人尋問が多いのではないかと考えられます。最高裁が《法廷での審理を見たり聞いたりするだけで事件の内容を理解できるような審理を行いたい》と考えているからです。

《○ 裁判員になったらどのくらいの資料を見なくてはならないのですか。》裁判員制度Q&A
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c4_10.html

 これは、海外の陪審制などがモデルだと考えられます。
(5) 事実審理
 連日開廷の集中審理が行われる。証拠調べは書面ではなく、証人尋問が中心となり、法律の素人である陪審員にもわかるように簡潔でわかりやすい尋問が心がけられるが、不当な偏見や予断を持たぬように複雑な証拠法が形成されている。

《人的基盤の強化について(平成12年4月17日・法務大臣官房長 但木敬一)》
司法制度改革審議会 第17回議事別添資料
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/dai17/17betten.html


 裁判員としては、書証を読み込むよりも、証人尋問を見るほうが分かりやすいでしょう。しかし、証人が多ければ裁判が長引きます。分かりやすい裁判と、早く終わる裁判は、両立が難しいものであると考えられます。
 これは、裁判員への負担よりも、裁判所、検察官、弁護人への負担として重くのしかかります。彼らは、裁判員制度を推し進めつつも、心のどこかで「つらい。やりたくない」と感じていたりして。

 私の経験では、証人の不出頭は珍しいものの、たまに目撃することがあります。せいぜい年1回あるかないかという程度ですが。
 証人不出頭の場合、改めて別の期日を決めて来てもらうか、請求した検察官か弁護人が「撤回」していました。
 アメリカの陪審制でも証人の不出頭があるようです。
そもそも陪審員には、全体像や見通しを知らされないことによるフラストレーションが避けられない。例えば、証人の不出頭等により審理が翌日に延期された場合に、陪審員に二度手間を強いることとなるが、予断を与えることを避けるため、延期の理由等を陪審員へ告げることはできない。

《海外実情調査報告(米国)》司法制度改革審議会
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/sonota/kaigai/pdfs/amerika.pdf

 証人が来ないから「また明日にしましょう」なんて困りますね。「長引いたから来週もお願いします」なんてことになったら…、頭にきて暴れてしまいそうです。器物損壊は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。

 では、証人の不出頭による裁判長期化は、避けられないのでしょうか?
 そんなことはありません。裁判員の負担を軽くするため、法務省にはアイデアがあるようです。
正当な理由のない証人の不出頭,証言拒否等の審理妨害行為等の制裁として,裁判所侮辱罪を導入する等の措置をとる必要がある。

《国民の司法参加について》(法務省)司法制度改革審議会 第30回議事 配付資料
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/dai30/30bessi4.html

 裁判所侮辱罪は導入されていないはずですが、刑事訴訟法では証人不出頭について定められています。
第百五十条  召喚を受けた証人が正当な理由がなく出頭しないときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
○2  前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第百五十一条  証人として召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、十万円以下の罰金又は拘留に処する。
○2  前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。

第百五十二条  召喚に応じない証人に対しては、更にこれを召喚し、又はこれを勾引することができる。

《刑事訴訟法(昭和二十三年七月十日法律第百三十一号)》

 どうやら、出頭しない証人に対して、もう一度呼んだり、引っ張って連れてくることができるようです。さらに10万円以下の罰金に処することができます。これを積極的に適用すればよいのです。
 その様子を、マスコミに大きく取り上げてもらえば、裁判員に迷惑をかけた証人を見せしめにできます。
 このような方法で、証人不出頭による裁判の長期化は、減らすことができます。

 それにしてもEさん、19歳という若さで、ずいぶん鋭いことをお考えですね。私なんか19歳の頃は本屋の奥のほうで…、いえ、未成年の方に下品な話をするのはやめておきます。


 以上、裁判員制度に関する心配事について、Q&A形式で書いてみました。最後までお読みくださったことに心より感謝申し上げます。おっぱっぴー!

参考文献:
裁判員制度(裁判所ウェブサイト)
http://www.saibanin.courts.go.jp/
首相官邸
http://www.kantei.go.jp/index.html
今井亮一の交通違反バカ一代
http://ko-tu-ihan.cocolog-nifty.com/
msn産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005
《自転車の安全利用の促進に関する提言》警察庁
http://www.npa.go.jp/bicycle/pdf/0611teigen.pdf
警察庁
http://www.npa.go.jp/
最高裁判所 現役裁判官15名 基礎データ
http://homepage2.nifty.com/misoshiru/mg/judgedata.htm
《裁判員制度下の控訴審》西野喜一・判例タイムズNo.1237掲載
タグ:裁判員制度
posted by 絶坊主 at 22:56| Comment(6) | TrackBack(0) | 裁判員制度 応援団ひとり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

これ、面白いですね。「反社会学講座」のパオロ・マッツァリーノ作品に近い、独特の雰囲気があります。

よかったら、また、こういうの書いてください。 書いていてグッタリしなければ…。(^^;
Posted by みそしる at 2008年02月09日 10:24
ありがとうございます。楽しんでいただけたようで嬉しいです。
みそしるさんからご指導いただいたことが役立ちました。

こういう形で裁判員制度を扱った文章は少ないと思います。ありふれた内容にならないよう注意したつもりです。意外なことに、裁判員制度の目的について踏み込んだ文章は、少ないと思います。
一般ウケするかどうかビミョーですが(^_^;)

制度スタートまで時間がありますから、またネタが集まったら、書いてみますね。膨大な議事録を駆使すればどんなバカげたことでも立証可能…いえ、あの、今のは撤回します。えー、制度の背景について興味深いことが分かります。
Posted by 絶坊主 at 2008年02月09日 16:17
「ご指導」とは…。 いえいえ、皆さんに誤解を与えるようなことは…。

でも、「読む前から何が書いてあるのか見当が付くような文章は、わざわざ誰も読んでくれない」とは心得てますからね。

ベテランの物書きの読者なら、「この人ならこう言ってくれるはず!」と安心したくて読んでくれたりするんでしょうが、われわれの場合は、そうはまいりません。

私も、いろいろ書きながら、「うわっ、フツー!」「つまんねー」と、自分にツッコミを入れつつ修正をかけております。 楽しいけど難しいですなぁ。
Posted by みそしる at 2008年02月10日 18:14
そうですねえ。
私の文章を読みたがる物好きなんかいないと考えています。むしろ読むのは苦痛だろうと。
でもそんなの関係ねえ! そんなの関係ねえ!

幸いだったのは裁判員制度批判のほとんどが紋切り型だったことです。当然ながら最高裁による反論もつまらない(面白さは求められてないけど)。
誰もが関わる可能性のある制度なのにもったいない話です。
厳罰化と裁判の短期化は国民が望んでいたことなのに、裁判員制度はものすごく評判が悪い。それでいて何が問題なのかハッキリしません。

西野喜一さんの記事(高裁での破棄は全て自判にすべき)を読んだとき、真っ当な意見だと思うとともに極論のニオイを感じました。これが大きなヒントでした。

これからも頑張ったら私に6億円投入されませんかねえ!?
Posted by 絶坊主 at 2008年02月10日 21:33
はじめまして。法の世界に興味を持った者です。
大変面白いQ&Aでした。
今後の裁判員制度のときにぜひとも参考にします。
Posted by MoffWalker at 2008年03月28日 02:30
MoffWalkerさん、はじめまして。
最後までお読みくださりありがとうございます。ありがたいお言葉に勇気づけられました。

これを書きながら、地裁はもちろん、高裁の負担がハンパないのではないかと、とても心配になりました。

私は法律の素人ですので、参考になさった結果については、責任を負えません。ご了承くださいませ。
Posted by 絶坊主 at 2008年03月28日 19:24
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