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2008年05月11日

判決: かわいいおばあちゃんめぐって大混乱! 狂犬病予防法ってナニ?(5)

 かわいいおばあちゃんに判決が言い渡されました。

↓過去の記事はこちら↓
http://chisai.seesaa.net/article/92142285.html
http://chisai.seesaa.net/article/92635932.html
http://chisai.seesaa.net/article/94009239.html
http://chisai.seesaa.net/article/96034056.html

 前代未聞の「なんじゃこりゃ〜!」な事件に名古屋簡裁はどのような判断したのでしょうか。


【注意事項】
 この記事は、私が裁判傍聴で必死こいて書き殴ったメモを元に、なんとか記憶を辿って書いたものです。もしかしたら、実際に裁判で起こったことと、全然違うかもしれません。
 また、私に法律の知識はありません。
 偏った思いこみや思想が文章に紛れ込んでいるかもしれません。極力避けるように努力します。ご了承下さい。
 この記事が事件の真実を言い当てることなどございません。
 無いとは思いますが、無断転載はご遠慮下さい。引用は法律を守ってご自由にどうぞ。
 リンクはご自由にどうぞ。ただし、画像等への直リンクはおやめ下さい。
 登場人物のイニシャルは本名と無関係です。

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《判決: かわいいおばあちゃんめぐって大混乱! 狂犬病予防法ってナニ?(5)》
【狂犬病予防法違反】【過失傷害】『判決』
名古屋簡易裁判所403号法廷
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☆★登場人物★☆
Nさん(被告人。在宅。60代ぐらいの女性。小柄。やせ形)
弁護人(40代ぐらいの女性。小柄。陽気な印象)
検察官(50代ぐらいの男性。長身。声が高い)
裁判官(40代ぐらいの男性。四角い顔。キッチリ七三分け)
書記官(50代ぐらいの男性。やせ形)
Xさん(Nさんの親族)
Yさん(Nさんの主治医。外科の開業医)
Aさん(被害者)
Pさん(Nさんを取り調べた警察官)
クッキー(Nさんの飼い犬の正式名称)
ポチ(Nさんが飼い犬を呼ぶ時に使うあだ名)


 いよいよ判決言い渡しの日が来ました。
 傍聴席には、被告人の親族が2人ぐらい、普段着の男性が4人ぐらい、スーツ姿の男性が3人ぐらい、そして私と、今までで一番集まりました。30分も時間がとってありますので、無罪判決を期待して集まったのでしょうか。

 被告人のNさんは、グレーのフリースを着て、いつもどおり長椅子にちょこんと腰掛けています。ああ、なんてかわいらしいんでしょう! 思わずため息が出てしまいました。

 さて、Nさんが証言台に呼ばれました。いよいよ判決宣告です。判決ですから、特に明記されていないものは、裁判官の発言です。


(判決言い渡し)

主文 被告人を、罰金8万円に処す。その罰金を完納できない時は、1日を金5,000円に換算して、労役場に留置する。

 長くなりますので元のイスに座って聞いていて下さい。

 罪となるべき事実は公訴事実と同じです。なお、被告人は知的障害者であり、犯行時は心神耗弱の状態にあったものである。

 訴訟費用は特段発生していない。

 弁護人の主張は以下の通りである。
1.被告人が飼い犬の狂犬病予防接種や登録をしていなかったのは、その義務を認識していなかったからである。
2.被告人は犬が噛みついた時に手綱を把持していた。過失傷害の予見は不可能であった。
3.被告人は重度の知的障害者で犯行時は心神喪失の状態にあった。

 これについて裁判所の判断を述べる。


■登録・予防接種義務を知っていた
 被告人は、公判廷では「知らない」と述べていたが、供述調書によれば、

「近所の人から聞いた」
「保健所に連れて行くと他の犬と出会って吠えてしまう」
「今さら連れて行くと登録していないことが分かってしまう」

などと述べている。

 供述調書には意訳、要約あるが、任意性を疑うほどではない。信用性を排除するほどではない。

 公判廷において、
検察官:「保健所に連れて行くと困るのか?」
被告人:「うん。噛むと困るもん」
と答えている。

 取り調べ時に、
「TVで犬が保健所に連れて行かれるのを観た。殺されると思った」
と述べている。

被害者Aの供述調書によると、
「私が噛まれた後に、『登録しているか? 予防接種したか?』と訊いたら、『やっていな
い』と答えた」
と述べている。

 被告人の姪Xは(出所メモ漏れ)、
「登録、注射をしていないと分かっていたと思う」
と述べている。

 公判廷でポチの年齢について、

検察官:「どのぐらい前から飼っているのか?」
被告人:「やっとになる」
検察官:「あなたがいくつの時?」
被告人:「分からない思い出せない」

などと答えている。

 平成19年**月、保健所の登録によると、「平成8年頃より上記居宅にて飼養する」となっている。
 X証人供述と一致する。
「私の娘が**歳ぐらいの時もらってくると…」

 犬の登録、予防接種義務が国民に広く知れ渡っていることを考えると、被告人は、犬の登録、予防接種しないことを分かっていたままで飼っていたと推察される。
弁護人による「被告人は法律を知らない」という指摘は法の不知に過ぎない。故意は成立する。


■過失傷害について

 ポチは中型犬だが力強い。
 ポチには合わない犬もある。被告人は散歩の時に近寄らないようにしていた。
 事件後は強く把持するようになった。逃走、吠えかかることがあったと、うかがえる。

 本件は、被害者Aが連れた犬に向かってポチが走り出し、被告人は転倒し、ポチがAの足に噛みついたものである。

 被告人の供述調書によると、
「犬が見えなかったので油断して軽く持っていた」
と述べている。

 当時、被告人は右手で犬にブラシをかけていた。左手に持っていた手綱は、より緩やかに持っていたことが推察される。

 畜犬の性質上、路上に連れ出す場合、他人にどのような危害を及ぼすか分からない。通常飼い主は経験則から危険を予見するものである。


■知的障害について

 心神喪失は法律的な解釈に属するものである。医学的な障害の程度だけではなく、犯罪の種類、動機、手段、記憶の有無などを考慮して判断する。

 被告人は、昭和64年の判定書によると、鈴木ビネー知能検査で、知能指数44、精神年齢6歳6ヵ月、障害の程度は中等度と判定されている。
 事件後の平成19年では、田中ビネー知能検査Vで、知能指数31、障害の程度は重度とより重い区分になっている。

 基底年齢は4歳とされているが障害の程度を表すものではない。ある年齢の問題に一つでも合格できないと年齢が下の問題に降りる。全ての問題に合格した場合一つ上の年齢を基底年齢とするものである。

 被告人は5歳の問題「数字の概念」を不通過となっている。

 福祉目的で刑事責任を判断する目的で作成されたものではないが、考慮すべき事柄が見受けられる。

・名前は書けるが字は書けない。
・仮定の話を理解できない。
・話が込み入ってくると適当に相づちを打つ。
・重大な自己決定には助言を要する。
・ていねいに伝えないと通じにくい。

(略: 被告人の経歴について)

 独居生活だが、火を扱うのは危ないため、Xの家で食事をしている。
 字は読めないが、役所の封筒は分かるため、到着したら持っていく。
 家賃は保護課の職員が付き添って振り込んでいる。

 日常生活は通常人と同様だが、判断能力は甚だしく劣っている。本件犯行当時の判断能力は著しく減退していた。
 過失傷害においても注意能力が通常人より著しく劣っている。精神障害に起因するものと認められる。
 心神耗弱が認められる。


■情状について
 被害者に単なる傷以上の不安を与えた。

 他方で、反省しており、登録、予防接種をすませている。
 十分注意して散歩している。
 謝罪に行っている。被害弁償されている。
 傷害の程度は軽い。幸い狂犬病ではなかった。

 心神耗弱のため法律上の減軽をした上で、事情を考慮してさらに減軽しました。

(控訴の説明。「14日以内に当裁判所に控訴申立書を」とか理解できないと思うけど…)

(判決言い渡し終了)


 以上で判決言い渡しは終了です。途中、何人かの傍聴人が、バタバタと退出していきました。飽きてしまったのでしょうか…。

 被告人のNさんは、親族らに連れられて、ニコニコしながら、あっという間に去ってゆきました。
 私はちょっぴり寂しい気持ちになりました。


 この時点で私の頭の中は「?」だらけでした。罰金8万円をどう受け取っていいのかサッパリ分からなかったのです。罰金20万円の略式命令に比べればずいぶんと減額されました。

 では、単なる想像ではありますが、罰金8万円がどのように算出されたのか考察してみます。

 狂犬病予防法違反の罰則は「20万円以下の罰金」(第二十七条)です。
 過失傷害の罰則は「30万円以下の罰金または科料」(刑法第二百九条)です。

第六十八条  法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
四  罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。

刑法(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)

 これは単なる直感ですが、多額の過失傷害のほうを適用することにして、

まずは心神耗弱による法律上の減軽で、
30万円 ÷ 2 = 15万円 (法律上の減軽)

さらに酌量減軽でも2分の1できますから、
15万円 ÷ 2 = 7万5千円 (酌量減軽)

となり、1万円以下の端数を切り上げて、
8万円

となったのかなあと思いました。

 被害者が存在するほうを適用して最大限減軽した、ということでしょうか。
 供述調書を認めて有罪とし高いほうの罰金を適用したことで検察側のメンツを立て、最大限に減軽したことで弁護側に配慮したという、いわば折衷案ではないかと思いました。

 私は、法律の本を買い込んでいるマニアですが、マジメに勉強しているわけでも、専門家でもありません。「ふーん、よくそんな熱心に計算するなあ」という程度に聞いておいて下さい。本当のことは裁判官にしか分かりません。


 警察がテキトーに取り調べ、検察がテキトーに略式にして、それを簡裁がうのみにして罰金20万円の略式命令を出してしまい、それで被告人の親族が怒ってしまったことから正式裁判になった今回の事件。
 個人的には、Nさんが生年月日をスラスラ答えたという警察と、略式に応じたという検察に、どういうことだったのか情報公開してもらいたいです。できないのなら、航空鉄道事故調査委員会のような第三者機関に、調査してもらうシステムを作るのがいいかと思いました。別に悪者探しをするわけではありません。何が行われたのか、何かいけないことがあったのか、再発防止策があるのか、キッチリ国民に示してもらいたいです。
 ここまでくると市民運動起こさないとムリですけどね。大げさな話になって申し訳ございません。

 どうしても気になっていることがあります。「訴訟費用は特段発生していない」ということは、私選弁護人かと思われます。罰金20万円の略式命令が正式裁判で罰金8万円になったということは、12万円得したことになります(別に得じゃないですけど、仮にそう呼びます)。

 訴訟がかなり長引きましたが、弁護士費用と罰金8万円で、20万円以内におさまったのかどうか、おさまらなかったとしても正式裁判を請求して良かったと思えたのかどうか、親族の皆様がどのようにお感じになったのか、気になります。

 これは人それぞれです。
 でも、テキトーに処理されることを拒んだのは、お金には換えられない価値があると言えるかもしれません。


◎今回分かったこと
・かわいい方を見るとため息が出ます。
・重度の知的障害者でも有罪になることがあります。
・マニアは量刑について想像して喜んでいます。
・国民の皆さんは捜査機関を調査する第三者機関について検討して下さい。
・正式裁判にはお金に換えられない価値がある…!?
posted by 絶坊主 at 22:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 珍しい事件(裁判傍聴記) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
絶坊主 さま

はじめましてオシリスキーです。

興味深く拝読させて頂きました。酌量減刑でも8万円は高いですね。弁護費用とあわせるとひょっとして、結局のところ20万円くらいにはなってしまいそうです。

注射をしていない飼い犬が、誰か様に噛みついたら、飼い主には、20万円くらいかかるというのはちょっとショッキングです。

仮に、Nさんのように知的障害を持っていなかったら示談で済むのではとも思ってしまいます。

Nさんはかわいらしいおばあちゃまで悪気がみあたらないし、どんどん悪いほうへ転がったような、とても気の毒な事件でした。

取調べでNさんに生年月日をスラスラ答えさせた警察官プロヘッソナルぶりには、目をみはるものがありますね。

それにしても絶坊主さまはレポートが長い!私は他に類をみないこの長いレポートと毒とく、あっ、独特の掘り下げた考察が好みで完全にはまっております。

これからも楽しみにさせて頂いております。







Posted by オシリスキー at 2008年05月11日 22:56
オシリスキーさん、はじめまして。拙い文章を熱心に読んで下さってありがとうございます。

おっしゃるとおり事件を考えると罰金8万円は高いように感じますね。
弁護士費用がいくらなのか詳しくないですが、私が見る以前に、少なくとも2回、おそらくは3回程度、公判が行われていたはずです。
1回あたり何万円ぐらいなのでしょうか。8万円と合わせると確実に20万円を超えているのではないかと思います。

何人かの方から、Nさんが略式を断っていたら不起訴(起訴猶予処分など)になっていただろうと、教えていただきました。
検察庁に、Nさんに略式裁判を同意させるという、プロヘッソナルな方がいらっしゃったため、相当にこじれました。
Nさんの親族は大変な出費をすることになってしまいました。

だだし、事件が珍しすぎて、罰金8万円が妥当なのかどうか、よく分からないです。別に裁判所を批判しているのではなくて、本当に分からなくて、「?」な判決でした。

もちろん、狂犬病に感染したら大変に危険ですし、人様にケガを負わせたのは飼い主の責任ですから、ある程度の厳しい刑はやむを得ないと思います。
偉そうな言い方になってしまいますが、それができない人は、誰かの助けを借りなければ、犬を飼ってはいけないのではないかと思います。

そもそもNさんにとって不幸だったのは、周りに関わっている方(親族、ご近所さん、役所の職員など)がたくさんいらっしゃったのに、誰も飼い犬の登録や予防接種について気付かなかったことです。
責めるつもりはないのですが、そこから悪い方へと転がっていったのだろうなあと…。


ところで、やっぱり長いですか(^_^;)
長すぎて敷居を高くしているような危惧を感じております。でも、オシリスキーさんのように、気に入ってくださる方もいらっしゃいますので、懲りずに続けていこうと思っております。

今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by 絶坊主 at 2008年05月12日 14:05
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